クニン

クニン：クロアチアの歴史を彩る古都

クニンは、クロアチアのシベニク＝クニン郡に位置する都市で、クルカ川の源流近くにあります。ザグレブとスプリトを結ぶ鉄道の要衝であり、交通の面でも重要な役割を果たしてきました。この都市は、中世クロアチア王国の首都、そしてクライナ・セルビア人共和国の首都という、二つの重要な歴史的側面を持っています。

クニンの歴史

クニンの歴史は古く、紀元前1世紀にはイリュリア人やローマ帝国の軍事拠点であったブルヌムという町が近くに存在しました。10世紀には、コンスタンティノス7世によって教区の中心として記録され、1040年にはクロアチア人の教区が設置されました。ドミタル・ズヴォニミルの統治下にあった1080年ごろからは、中世クロアチア王国の首都となり、「クロアチアの王たちの町」や「ズヴォニミルの町」として知られるようになりました。

要塞都市としてのクニン

10世紀から13世紀にかけて、クニンは重要な軍事的要塞としての役割を果たしました。スパス山には要塞が築かれ、18世紀には現在の形となりました。この要塞はダルマチア地方でも最大級であり、上部、中部、下部が吊り上げ橋で結ばれています。その戦略的な位置関係から、クニンは多くの戦争や変革において重要な役割を担ってきました。

多様な支配者の下で

クニンは、クロアチア王国の支配者たちをはじめ、ハンガリー王国、ヴェネツィア共和国、オスマン帝国、オーストリア、フランスといった様々な国の支配を受けました。1522年にはオスマン帝国の手に落ち、町のクロアチア文化は大きく衰退しました。その後、セルビア人が移住し、1708年にはフランシスコ会が修道院と教会を建設しました。1797年にはハプスブルク家の支配下に入り、1805年にはフランス帝国、1813年には再びオーストリアの支配下となりました。19世紀末には、ハプスブルク家の支配するダルマチア地方の一部として、交易と交通の拠点として発展しました。

ユーゴスラビア紛争とその後

1918年、クニンはスロベニア人・クロアチア人・セルビア人国の一部となり、後にユーゴスラビア王国に改称されました。1991年、クロアチアがユーゴスラビアから独立を宣言すると、クニンはクライナ・セルビア人共和国の首都となりました。しかし、1995年の嵐作戦によってクロアチア軍がクニンの支配権を獲得し、この地域は再びクロアチアの一部となりました。紛争後、クニンの人口構成は大きく変動し、セルビア人が多数派であった地域にクロアチア人が流入しました。

クニンの人口

クロアチア紛争前は、クニン自治体の人口の87%、町の人口の79%がセルビア人でした。紛争の間、ほとんどの非セルビア人がクニンを去り、紛争の終わりにはセルビア人が町を去りました。2001年の国勢調査では、クニンの町の人口は11,128人、自治体全域で15,190人であり、自治体の人口のうちクロアチア人は76.45%で多数派を占め、セルビア人は20.8%となっています。

考古学的遺産

クニンの近くには、ローマ都市ブルヌムの遺跡があり、ダルマチア地方最大の円形劇場があります。また、ビスクピヤやカピトゥルといった村には、10世紀の遺構があり、中世クロアチア文化に関連する遺物が見つかっています。

スポーツと交通

クニンの主要なサッカークラブはNKディナラであり、1913年に創設されました。また、バスケットボールも盛んであり、クロアチア代表が試合を行ったこともあります。クニンは、国道D1によって主要な沿岸都市であるスプリトと結ばれており、交通の便も良いです。

クニンの著名な出身者

クニンは、クロアチア王ドミタル・ズヴォニミルをはじめ、多くの著名な人物を輩出してきました。政治家、作家、考古学者、サッカー選手など、様々な分野で活躍する人々がクニン出身です。

クニンは、豊かな歴史と文化を持つ都市であり、その魅力は多様です。紛争の歴史を乗り越え、新たな発展を目指すクニンの今後に注目が集まっています。

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