クバーナ航空389便オーバーラン事故

クバーナ航空389便オーバーラン事故は、1998年8月29日にエクアドルのマリスカル・スクレ国際空港で発生しました。クバーナ航空のツポレフTu-154M型機が、グアヤキル経由ハバナ行きの389便として離陸に失敗し、滑走路をオーバーラン。空港周辺の住宅地を破壊し、爆発炎上しました。

事故の概要
発生日時：1998年8月29日
場所：エクアドル、マリスカル・スクレ国際空港（現：閉鎖）
便名：クバーナ航空389便
機種：ツポレフTu-154M
乗員乗客：91名
死者：80名（乗員乗客70名、地上10名）

事故機について
事故機のツポレフTu-154M（機体記号CU-T1264）は、1985年12月に製造され、1986年2月にクバーナ航空に納入された機体でした。ソロヴィヨーフD-30KU-154-IIエンジンを搭載し、総飛行時間は9,256時間でした。

事故の状況
事故当日、389便はハバナからキトへのフライトを終え、キトからグアヤキルを経由してハバナへ戻る予定でした。離陸準備中、パイロットはエンジンの始動時に空気圧バルブの詰まりを解消するのに手間取りました。その後、2基のエンジンを始動させ、滑走路へタキシング。さらに3基目のエンジンも始動させ、離陸許可を得てスロットルレバーを操作しました。しかし、ローテーション速度に達しても機首は上がらず、滑走路端まで800メートルの地点で離陸中止を決断。減速を試みましたが間に合わず、13時03分に滑走路をオーバーランしました。機体はフェンスを突き破り、家屋や自動車修理工場を破壊した後、空港から180メートル離れたサッカー場で停止し、爆発しました。

犠牲者
乗客77名のうち56名が死亡し、生存者は主に後部座席にいた21名でした。乗員14名は全員死亡しました。当初生存していた2名の客室乗務員も、救助活動中に負った火傷が原因で死亡しました。地上の死者には、サッカーをしていた子供5名が含まれていました。

事故原因
事故調査の結果、タキシング時のチェックリストが遵守されていなかったこと、そしてパイロットが油圧バルブのスイッチを入れ忘れたことが、事故の主な原因とされました。

事故の影響
この事故は、14年前にも同じ場所でAECA航空のボーイング767が離陸に失敗した事故が発生していたことから、マリスカル・スクレ国際空港が住宅地のすぐ近くに位置することの危険性を改めて浮き彫りにしました。その後、空港は別の場所に移転され、旧空港は2013年2月19日に閉鎖されました。

クバーナ航空389便オーバーラン事故は、航空機の安全管理の重要性と、空港立地が周辺住民に与える影響について、改めて考えさせられる悲劇となりました。

もう一度検索