離陸

離陸の概念と概要

離陸（りりく）、英語では「Take-off」と呼ばれるこの工程は、航空機が地面を離れ、空中に浮上することを意味します。さらに、空中に浮上した後は安定した上昇を続けることも含まれます。水上機の場合は水面からの浮上を「離水」とも呼び、同様の概念です。

多くの固定翼機では、離陸滑走を通じて必要な揚力を得るために速度を上げていくのが一般的です。加速を行う際の動力源として、レシプロエンジンやターボジェットエンジン、ターボファンエンジンなどが主に使用されます。離陸の性能は、航空機の翼型、翼面積、機体の重量などに影響を受け、翼面積が小さく、機体が重いほど離陸速度は高くなる傾向があります。

重要な離陸速度

離陸には、いくつかの重要な速度が関与します。以下にいくつかの代表的な速度について説明します。

離陸決心速度 (V1)

V1は、パイロットが離陸を続行するか中止するか判断する際の重要な速度です。この速度を超えると、滑走路内での安全な停止が難しくなるため、何らかの障害が発生しても離陸を継続する必要があります。V1は滑走路の長さ、機体の重量、気温や気圧などさまざまな要因を考慮して設定されます。

ローテーション速度 (VR)

VRは機首を上げ始める速度であり、パイロットは指示された対気速度がVRに達したことを確認してから機首操作を行います。

安全離陸速度 (V2)

V2は、地面から浮上後に安全な上昇が可能な速度です。具体的には、滑走路上空約35フィートの位置において到達しておくべき速度で、機体の失速速度や離陸後の上昇勾配、エンジン停止時の安全な上昇能力などを考慮して決定されます。

離陸手順

滑走路への移動

航空機が離陸に使用する滑走路に移動する際の動作は「タキシング」と呼ばれます。固定翼機の場合、地上走行で動作を行います。航空機の車輪は動力を持たず、飛行に使用するエンジンをタキシングにも使用します。このため、タキシングには比較的多くの燃料が消費されます。

離陸の方法

タキシングを短縮するためには、離陸性能が適切であれば滑走路の途中から離陸する「インターセクション・デパーチャー」という方法もあります。また、離陸許可が出ている場合、すぐに離陸する「ローリングテイクオフ」と、一度停止してから離陸する「スタティックテイクオフ」があります。それぞれに利点と欠点があり、空港の混雑状況や騒音への配慮に応じた選択が必要です。

離陸・上昇プロセス

スラストレバーを操作して定められた離陸推力に達し、速度を上げていきます。その際、機首上げの準備をしておきます。VRに達したら操縦桿を引き、機首を持ち上げ上昇に転じます。この際は、急激な機首上げは避け、V2に達してから徐々に機首を上げます。

特殊な航空機

滑空機はエンジンを持たないため、車両による牽引やカタパルトで離陸します。一方で、モーターグライダーのような動力を持つ滑空機は一般的な固定翼機と同様に、自らの動力源で離陸・上昇が可能です。

また、垂直離[[着陸機]]（VTOL）や短距離離陸機（STOL）といった特殊な航空機は、滑走路なしで直立して離陸することができます。回転翼機も同様に、滑走路を使用しながらも上昇しますが、その操作は特有の技術を要します。人間の判断が必要な離陸も多く、完全自動化は未だ実現されていません。さらに、高度な知識と技術が求められる離陸操作は、パイロットにとって大きなプレッシャーとなります。

各種の航空機の離陸の方法はそれぞれ異なりますが、共通して、安全性を最優先にした慎重な判断と操作が求められます。

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