クライスラー・セブリング

クライスラー セブリング：アメリカン・クーペの系譜

クライスラーセブリングは、クライスラー社（現ステランティス）が1996年から2010年まで製造・販売していた乗用車です。セダン、クーペ、コンバーチブルと多彩なボディタイプを展開し、アメリカ市場において一定の地位を確立しました。本稿では、3世代にわたるセブリングの歴史と特徴を詳細に解説します。

初代セブリング (1996年-2000年、FJ/JX型)

初代セブリングは、1996年にレバロン・コンバーチブルの後継として登場しました。セブリングクーペとは別車種であり、先に販売されていたクーペとは車体設計を共有していませんでした。パワートレインは、三菱製の2.5L V6エンジン（6G73型）とクライスラー製の2.4L 直4エンジン（EDZ型）を搭載し、4速ATと組み合わせられました。特徴的なのは、クライスラーブランド以外のダッジやプリムスブランドでの販売が行われなかった点です。1998年には上級グレード「Limited」が追加され、フロントグリルデザインも変更されました。

2代目セブリング (2000年-2006年、ST-22/JR型)

2000年に発表された2代目は、3代目三菱エクリプスと共通のプラットフォームを採用しました。この世代では、ダッジブランドから「ストラトス・クーペ」として販売された点が注目されます。これは、先代セブリングのダッジ版にあたる「アベンジャー」の後継モデルにあたります。セブリングとストラトス・クーペは、基本設計は共通ながら、セブリングの方がより快適な乗り心地に、ストラトス・クーペはスポーティーなセッティングに調整されていました。エンジンは三菱製の3.0L V6エンジン（6G72型）と2.4L 直4エンジン（4G64型）を搭載。トランスミッションは4速ATと5速MTが用意されました。2004年にはフロントグリルなどのデザイン変更を含むフェイスリフトを実施。2005年に生産終了となりましたが、後継モデルであるセブリング・コンバーチブルのハードトップ版が2008年に発売されました。

3代目セブリング (2006年-2010年、JS型)

3代目はクライスラーのコンセプトカー「エアフライト」のデザインを踏襲し、クライスラーJSプラットフォームを採用しました。2007年にセダンが、2008年にコンバーチブルが発売されました。クライスラー初となる情報エンターテイメントシステム「MyGiG」が搭載されたのもこの世代からの特徴です。生産はミシガン州スターリングハイツで行われ、部品の82%がアメリカ国内で製造されました。コンバーチブルモデルにはソフトトップに加え、電動ハードトップモデルが追加され、ルーフはカルマン社が製造しました。エンジンは、アメリカ仕様ではGEMA製の2.4L 直4エンジン、クライスラー製の2.7L V6エンジン（EER型）、3.5L V6エンジン（EGJ型）を搭載。トランスミッションは4速ATと6速ATが用意されました。輸出仕様車にはフォルクスワーゲン製の2.0Lディーゼルエンジンも存在しました。ダッジ・アベンジャーは兄弟車として位置づけられました。2011年モデルからはデザインを一部変更の上、「クライスラー200」として販売されることになり、「セブリング」の名は歴史の幕を閉じました。

まとめ

セブリングは、クライスラーと三菱の技術提携関係、そしてダッジブランドとの繋がりを象徴するモデルでした。3世代に渡るモデルチェンジを通して、デザイン、エンジン、装備を進化させながら、アメリカ市場での存在感を示しました。セブリングの系譜は、その後継モデルであるクライスラー200へと受け継がれていくことになります。

もう一度検索