クラブ (ミサイル)

クラブ (3M-54 カリブル)

クラブ（ロシア語: Клуб）または3M-54カリブル（ロシア語: Калибр）は、ロシア連邦が誇る巡航ミサイルのファミリーであり、特に艦船発射型はNATOコードネームのSS-N-27シズラー（SS-N-27 Sizzler）やSS-N-30Aで知られています。このミサイルは、ノヴァトール設計局によって開発され、1985年頃からの歴史を持っています。

“Клуб”は社交的な場や団体を意味し、カリブルは「口径」を指しており、NATOの“sizzler”は「焼ける音」を連想させる名前です。

開発背景と特徴

クラブは1985年頃にソビエト連邦の時代に開発が始まり、1993年にはMAKS-93航空ショーで初めて発表されました。このミサイルファミリーは、搭載するミサイルや発射プラットフォームが多岐にわたるため、様々な用途に適応可能なシステムとして知られています。

このミサイルは水上艦、潜水艦、航空機など多くのプラットフォームから発射でき、対艦、対潜、水上攻撃用など異なるバリエーションが存在します。特に、あるバージョンには推進段階が二つあり、標的接近時に超音速での発射が可能です。このため、敵の防衛システムにとって迎撃が非常に難しいとされています。このクラブシステムには、輸出用に特化したバージョンもあります。

発射プラットフォームは以下のように分類されます：

• - 潜水艦発射型：Club-S
• - 水上発射型：Club-N
• - 陸上発射型：Club-M

水上艦艇発射の場合は3S14 UKSK VLSから、潜水艦発射型は533mm魚雷発射管から発射されます。基本的に、ミサイルの直径は533mmです。特に、シリア内戦や2022年のウクライナ侵攻において、このミサイルは実戦投入され、その有効性が実証されました。

ミサイルの種類と特徴

対艦型

• - 3M54E

- 全長：8.22m
- 発射重量：2300kg
- 弾頭重量：200kg
- 弾頭：高爆発（HE）
- 射程：約300km以上

このミサイルは、発射後に亜音速で飛行し、目標の手前で超音速の先端部を切り離して敵艦に向かうため、迎撃が難しいとされています。

• - 3M54E1

- 全長：6.2m
- 発射重量：1780kg
- 弾頭重量：400kg
- 弾頭：高爆発（HE）
- 射程：約300km

こちらは完全な亜音速巡航ミサイルであり、主に輸出目的で使用されています。

対地型

• - 3M14TE

- 垂直発射型
- 全長：8.9m
- 重量：3205kg
- 弾頭重量：450kg
- 射程：約2000-2500km

シリア内戦では、その性能が確認され、地形追従能力も持つことが分かりました。

• - 3M14E

- 魚雷発射管型
- 全長：6.2m
- 重量：1770kg
- 弾頭重量：450kg
- 射程：670km以上

対潜型

• - 91RE1

- 全長：7.65m
- 発射重量：2100kg
- 弾頭重量：385kg
- 射程：約50km

このミサイルは旧ソ連の対潜ミサイルを代替するもので、ロシア海軍におけるスタンダードとされています。

• - 91RTE2

- 水上艦VLS発射型
- 全長：8.9m
- 発射重量：3105kg
- 射程：約40km

採用国と搭載艦

クラブシリーズは、ロシアを筆頭に、インド、ベトナム、中国など多数の国々に採用されています。特に搭載艦には、潜水艦、フリゲート、コルベットなど多くの戦闘艦が含まれ、戦力の重要な部分を担っています。これらの機能により、クラブミサイルは現在の海軍における重要な兵器となっています。

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