クラマトルスク駅へのミサイル爆撃

クラマトルスク駅へのミサイル攻撃

2022年4月8日、ウクライナ東部のドネツィク州に位置するクラマトルスク駅が、ロシア軍によるとされるミサイル攻撃を受けました。この攻撃により、多くの避難民が犠牲となり、国際社会に大きな衝撃を与えました。

攻撃の経緯

クラマトルスクは、ロシアによるウクライナ侵攻開始当初は比較的平穏でしたが、4月に入り、ロシア軍が東部での攻勢を強めるにつれて、多くの市民が避難を始めました。クラマトルスク駅は、避難民にとって重要な出発点となっており、事件当日には、女性や子供を含む約4,000人の避難民が駅に集まっていました。

午前10時30分頃、駅上空でクラスター弾頭を搭載した2発のミサイルが爆発しました。この攻撃により、子供を含む多数の死傷者が出ました。目撃者によると、爆発音は5回から10回に及んだとされています。

攻撃に使用されたのは、OTR-21トーチカという戦術弾道ミサイルシステムとされています。ミサイルにはクラスター弾頭が搭載されており、爆発時に金属球が広範囲に散布されたことで、多数の死傷者を出す惨事となりました。

攻撃後の反応

攻撃直後から、ウクライナとロシアの間で、どちらが攻撃を行ったのかという責任のなすりつけ合いが始まりました。ウクライナのゼレンスキー大統領は、トーチカUによる攻撃であると発表しましたが、ロシア側も同様の主張をしています。アメリカ国防総省は、トーチカUはロシア側の拠点から発射された可能性を示唆しています。

また、BBCウクライナ語版は、過去にロシア軍がトーチカUを使用した事例や、ブースターが残っていることからクラスター弾頭が使用された可能性が高いと報じています。

一部の海外メディアは、ロシア軍のドボルニコフ司令官が攻撃を命じた可能性を示唆しています。

国際社会の反応

ウクライナ以外の各国は、この攻撃を非難する声明を発表しています。アメリカ合衆国の報道官は、ロシアによる残虐行為であると非難し、日本の外務大臣も同様に、民間人を標的とした攻撃は戦争犯罪であると強く非難しています。国際連合事務総長は、国際人道法や国際人権法への重大な違反であると指摘し、国際連合児童基金も、攻撃を強く非難しました。

ロシア側の反応

攻撃直後、親ロシア派のニュースサイトは、ウクライナ軍の集結場所を攻撃したと配信しましたが、その後、配信は削除されました。ロシア国防省は、攻撃を否定し、トーチカUを保有していないと主張しています。しかし、過去にロシア軍がトーチカUを使用した事例や、ベラルーシ国内でトーチカUが輸送されている映像が存在することから、ロシア側の主張は信憑性に欠けるとの見方が広がっています。

ロシアのメディアは、ミサイルのシリアル番号からウクライナ軍の攻撃であると主張しましたが、その一方で、ロシア軍自身が過去にトーチカUを使用していたことを報じています。

報道

国内外のメディアは、この事件を大きく報道し、民間人が多数犠牲となった惨状を伝えています。報道の中では、ミサイルがクラスター弾頭を使用していたこと、多くの子供たちが犠牲になったことなどが強調されています。

一部の報道では、ミサイルの残骸に書かれていた「За детей（子供たちのために）」というロシア語のスローガンが、報復のメッセージである可能性が指摘されています。

攻撃前の様子と攻撃後の変化

侵攻前のクラマトルスク駅は、閑散としていましたが、攻撃当日は、避難を求める人々で混雑していました。BBCは、攻撃直前の駅の混雑した様子を写真で掲載しています。攻撃後の写真は、駅が破壊され、多くの犠牲者が出た惨状を物語っています。

結論

クラマトルスク駅へのミサイル攻撃は、民間人を標的とした非人道的な行為であり、国際社会に深い傷跡を残しました。攻撃の責任の所在については、現在も調査が続いていますが、多くの犠牲者が出た事実は決して変わることはありません。

この事件は、戦争の悲惨さを改めて世界に示し、民間人を守るための国際的な取り組みの重要性を再認識させるものとなりました。

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