クララ・カンヴァース

クララ・エイドラ・カンヴァース：日本の女子教育に捧げた生涯

クララ・エイドラ・カンヴァース（Clara Adra Converse, 1857年4月18日 - 1935年1月24日）は、アメリカ合衆国出身のバプテスト派女性宣教師であり、教育者として日本とアメリカで活躍しました。特に、横浜の英和女学校（後の捜真女学校）の校長として、女子教育の発展に大きく貢献した人物です。

生い立ちと教育

1857年、カンヴァースはバーモント州グラフトンで、バプテスト派の農業を営む家庭に8人兄弟の末っ子として生まれました。小学校卒業後、バーモント州師範学校に進学し、1873年に卒業。16歳という若さで小学校教師としてのキャリアをスタートさせます。

教養を高めるため、1876年にバーモント・アカデミーに入学。1879年の卒業後、マサチューセッツ州のスミス・カレッジへ進み、さらに学びを深めました。

スミス・カレッジ卒業後、26歳でバーモント州の視学官に任命されるという異例の経歴を持ちます。その後、母校であるバーモント・アカデミーに教師として迎えられ、ギリシア語、ドイツ語、修辞学、数学などを教えました。教え子の中には、後に医学者として名を馳せるフロレンス・セービンもいました。

宣教師としての決意と来日

1888年、父の死に際し、神の啓示を受けたと感じたカンヴァースは、宣教師になることを決意します。1889年にバーモント・アカデミーを辞職し、アメリカ婦人バプテスト海外伝道協会に宣教師として志願しました。

1890年1月7日、サンフランシスコから横浜へ向かい、1月25日に到着。宣教師ネイサン・ブラウンの妻、シャーロット・ブラウンに迎えられました。シャーロット・ブラウンと共に生活を送りながら、彼女が初代校長を務める英和女学校で聖書を教え始めます。同年9月、シャーロット・ブラウンの退任に伴い、33歳で英和女学校の第2代校長に就任しました。

英和女学校では、教師のエイミー・コーンズ（後の山田千代子）から日本語や日本文化を学びながら、学校運営を軌道に乗せていきました。

捜真女学校の設立と教育理念

1891年、山手に新校舎を建設し、校舎建築費用の寄付者の名前にちなんで、英語名を「メリー・L・コルビー・ホーム」 (Mary L. Colby Home) 、後に「メリー・L・コルビー・スクール」（Mary L. Colby School）としました。1892年には、学校の日本名を「捜真女学校」と改称。「捜真」という名前は、カンヴァースが掲げた教育目標である「聖書の真理を捜し求める」に由来しており、現在も学校名としてその精神が受け継がれています。

カンヴァースは教育者としてだけでなく、宣教師としても精力的に活動しました。1891年9月からは日曜学校を開設し、本牧、北方、寿町などに学校を設立しました。

引退と晩年

1925年7月、35年間務めた捜真女学校の校長を辞任し、名誉校長となりました。後任にはアナベル・ポーレーが就任。引退後は、山田千代子と共に生活を送りました。1929年4月には、長年の教育への貢献が認められ、藍綬褒章を受章しました。

1935年1月23日、病状悪化がNHKラジオで報道され、翌24日に77歳で死去。2月6日に捜真女学校で盛大な葬儀が執り行われ、生前の遺志に従い、三ツ沢墓地の捜真女学校が見える丘に埋葬されました。墓石には「エホバはわが牧者なり、われ乏しきことあらじ」という聖書の言葉が刻まれています。

死後

2002年9月、カンヴァースの母校であるバーモント・アカデミーから、セービン賞が授与されました。この賞は、カンヴァースの教え子であり、医学者として著名なフロレンス・セービンを記念して創設されたもので、各分野で功績を残した卒業生を表彰するものです。賞状は捜真学院が受け取り、校内に掲示されています。

クララ・エイドラ・カンヴァースは、日本の女子教育に多大な貢献をしただけでなく、キリスト教の精神に基づいた教育を通じて、多くの女性たちの人生に影響を与えた人物として、今もなお記憶されています。

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