クランチロール (企業)

クランチロール（Crunchyroll, LLC）とは

クランチロールは、アメリカ合衆国に拠点を置くエンターテイメント企業です。元々はファニメーション（Funimation）という社名で、日本のアニメーション作品の配信、ライセンス管理、家庭用ビデオ販売、劇場配給などを行ってきました。現在は、ソニーグループの一員として、世界中でアニメファンに親しまれています。

歴史

ファニメーション時代

1994年、ゲン・フクナガ氏とその妻シンディによって設立されたファニメーションは、当初シリコンバレーに拠点を置いていました。フクナガ氏は、東映アニメーションのプロデューサーだった叔父の堀長文氏から、アニメ「ドラゴンボール」のアメリカでの権利をライセンスする提案を受け、それを実現するために事業を立ち上げました。資金面では、ダニエル・コカノウガー氏とその家族が投資家として参加しました。

当初は他の企業と共同で「ドラゴンボール」の制作を行っていましたが、1998年にカートゥーンネットワークで「ドラゴンボールZ」が放送されると、大きな人気を博しました。これにより、ファニメーションは他の作品のライセンスを獲得し、事業を拡大していきました。また、アニメ以外の作品として、ダイレクト・トゥ・ビデオ映画「チャック・E・チーズ・イン・ザ・ギャラクシー5000」も制作・配給しました。

2002年には、4キッズエンタテインメントと独占的なホームビデオ配給契約を結び、「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」などの人気作品をリリースしました。2003年には、カナダのネルバナと提携し、ネルバナ所有作品の家庭用ビデオ配信権を獲得。2004年には、ファミリー向け作品に特化した新部門「アワー・タイム・ファミリー・エンターテイメント」を設立し、事業領域を広げました。

ナヴァール・コーポレーションによる買収と売却

2005年、ファニメーションはナヴァール・コーポレーションに買収されましたが、創業者であるゲン・フクナガ氏は引き続きCEOとして会社を率いました。2011年には、ナヴァールから投資家グループに売却され、フクナガ氏もその一員に加わりました。

この間、ファニメーションは、2008年にジェネオンUSAのライセンス作品を取得したり、2009年に東映アニメーションとオンライン配信契約を結んだりと、コンテンツの拡充に努めました。

ニコニコ動画との提携と事業拡大

2011年、ファニメーションはニコニコ動画の英語版であるNiconicoと提携し、「Funico」ブランドを設立。Niconicoが配信する作品をファニメーションが取得するようになりました。2014年には、スクリーンビジョンと提携して劇場配給を開始し、独自の劇場配給部門も設立しました。また、ユニバーサル・ピクチャーズ・ホームエンターテイメントと提携し、ホームビデオ配給も強化しました。

2016年には、動画配信サービスFunimationNowを開始し、イギリスやアイルランドにもサービスを拡大しました。さらに、Crunchyrollとの提携も開始し、相互のコンテンツを配信するようになりました。

ソニーによる買収

2017年、ソニー・ピクチャーズ テレビジョンがファニメーションの株式の95%を買収しました。これにより、ファニメーションはソニーグループの一員となり、アニマックスやキッズステーションとの連携も強化されました。

2018年には、シャウト!ファクトリーやAT&T、Huluなどとの提携を通じて、コンテンツ配信の幅を広げました。また、2019年には、中国の配信サービスBilibiliとの提携や、イギリスのマンガ・エンターテインメントの買収を通じて、国際的な事業展開を加速させました。

アニプレックスとの合弁事業と国際展開

2019年、ソニー・ピクチャーズ テレビジョンとアニプレックスは、国際的なアニメ配信事業を統合し、ファニメーション・グローバル・グループを設立しました。この合弁事業により、ファニメーションはアニプレックスの子会社であるWakanimやMadman Animeと連携し、世界中でアニメコンテンツを配信できるようになりました。

2020年には、ラテンアメリカにサービスを拡大し、2021年には南米3カ国にも進出しました。

Crunchyrollへのリブランディング

2020年、ソニー・ピクチャーズ エンターテインメントは、ワーナーメディアからCrunchyrollを買収し、ファニメーション傘下に置きました。そして、2022年3月、ファニメーション、Wakanim、VRVのSVODサービスはCrunchyrollに統合され、ファニメーション・グローバル・グループはクランチロール（Crunchyroll, LLC）に社名変更しました。これにより、ファニメーションのコンテンツは、Crunchyrollブランドとして世界中に配信されることになりました。

現在

クランチロールは、世界中のアニメファンに愛される配信サービスとして成長を続けています。日本のアニメ作品の配信だけでなく、家庭用ビデオ販売、劇場配給、グッズ販売など、アニメに関わる多岐にわたる事業を展開しています。今後も、世界のアニメ文化を牽引する存在として、その動向が注目されます。

配信

クランチロールは、モバイル向けのビデオ・オン・デマンドサービスも提供しており、様々なプラットフォームでアニメを視聴することができます。また、海外への配信も積極的に行っており、多くのアニメファンに日本のコンテンツを提供しています。

かつては、北米以外では他社にサブライセンスを行っていましたが、現在は自社で直接配信を行う地域も増えています。国際的な事業展開をさらに進めることで、アニメ文化の普及に貢献していくことでしょう。

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