クリアウォーター郡 (アイダホ州)

クリアウォーター郡

アメリカ合衆国アイダホ州の北部中央に広がるクリアウォーター郡は、自然豊かな景観と深い歴史を併せ持つ地域です。2010年の国勢調査では、約8,761人の住民がこの地に暮らしていることが示されました。郡の中心的な役割を担う郡庁所在地はオロフィノで、人口3,142人を擁し、郡内では最大の都市でもあります。

歴史

クリアウォーター郡の歴史は、初期のアメリカ大陸探検家たちの足跡と密接に関連しています。郡内にはクリアウォーター川の北支流が流れ込み、さらに本流や南支流の一部も郡域にかかっています。このクリアウォーター川と、郡域南東端にあるロロ峠は、19世紀初頭のアメリカ大陸横断を目指したルイス・クラーク探検隊の旅路において、特に重要な意味を持ちました。

1805年、ビタールート山脈の厳しい横断を終えた探検隊は、9月半ばに突然の暴風雪に見舞われ、食料も底を突きかけました。このような極限の状況下で、彼らは現在のワイピー郊外に広がるウェイップ・プレーリーに到達し、そこに暮らすネズ・パース族の人々と出会いました。探検隊はネズ・パース族の温かい支援を受けて体力を回復させ、旅の途中で失われたカヌーを再建することができました。10月になると、彼らはネズ・パース族の助けを借りて新たに完成させたカヌー（キャンプ・カヌーと呼ばれます）でクリアウォーター川を下り始め、その後スネーク川、そしてコロンビア川へと航路を進めました。この水路を利用することで、彼らは約1ヶ月後、現在のオレゴン州アストリア近郊に位置する太平洋岸に無事到達することができたのです。

また、鉱業史においても郡は重要な位置を占めています。1860年、エリアス・D・ピアースとウィルバー・F・バセットという二人の探鉱者が、現在のピアースの北方約1.6キロメートル地点にあるオロフィノ・クリーク（別名キャナル・ガルチ）で砂金を発見しました。これは、後のアイダホ州となる準州において、最初の組織的な金発見として記録されています。

地理

クリアウォーター郡は広大な土地を擁しており、アメリカ合衆国国勢調査局の報告によると、その総面積は約6,444.2平方キロメートル（2488.10平方マイル）に及びます。このうち陸地は約6,375.0平方キロメートル（2461.40平方マイル）を占め、水域は約69.1平方キロメートル（26.70平方マイル）と、総面積の1.07％となっています。郡の地形は、コロンビア川流域の中央部に位置する広大で起伏のある草原地帯として知られる「パルース」と呼ばれる地域の一部を形成しています。

郡内には、水資源を活用した重要な施設や美しい自然景観が多数存在します。ドワーシャック貯水池は広大な水面を提供し、釣りやボートなどのレクリエーションの場となっています。その周辺にはドワーシャック州立公園があり、多様なアウトドア活動の機会を提供しています。また、ドワーシャック国立魚類孵化場は、地域の魚類資源の維持・回復に貢献しています。これらの施設の中核となるのが、アメリカ合衆国で3番目に高いドワーシャック・ダムです。このダムは、治水や発電、そして地域の水資源管理において重要な役割を果たしています。

冬期には、オロフィノとピアースの中間に位置するなだらかな斜面を持つボールド山スキー場でスキーを楽しむことができます。さらに、自然保護の観点から、カリブー・ターギー国立の森、ネズパース国立歴史公園、セントジョー国立の森といった国立保護地域の一部が郡域に含まれており、貴重な生態系や歴史的資産が保護されています。

隣接する郡

クリアウォーター郡は以下の郡と境を接しています。

ショショーニ郡（北）
レイタ郡（西）
ネズパース郡（西）
ルイス郡（南西）
アイダホ郡（南）
ミズーラ郡（モンタナ州、東）
ミネラル郡（モンタナ州、東）

主な都市と町

郡内にはいくつかの主要な居住地があります。

エルクリバー
オロフィノ（郡庁所在地）
ピアース
ワイピー

交通

郡内を走る主な高規格道路は以下の通りです。

アメリカ国道12号線
アイダホ州道7号線
アイダホ州道8号線
* アイダホ州道11号線

インフラ

公共施設としては、アイダホ州矯正省によって運営されるアイダホ州オロフィノ矯正施設がオロフィノ市内に設置されています。

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