クリアビジョン

クリアビジョンとは、日本におけるEDTV（Enhanced Definition Television）方式の愛称です。EDTVは、標準解像度のテレビ方式であるSDTV、すなわち日本ではNTSCと上位互換性を持たせつつ、画質を改善したものです。具体的には、従来のNTSC方式のテレビ放送よりも高画質化を図るために、様々な技術が用いられました。

クリアビジョンは、1989年8月24日に放送を開始し、2011年7月24日正午に放送を終了しました。この方式の特徴は、送信側と受信側の両方で高画質化のための対策が講じられている点です。クリアビジョンで制作された番組を対応テレビ受像機で視聴すると、その高画質化の効果を最大限に発揮することができました。

送信側の高画質化技術

送信側では、以下の様な技術が用いられました。

ゴースト除去信号の付加: テレビ映像に発生するゴースト（多重反射による残像）を低減するための信号を付加しました。
適応的エンファシス: 画面の暗い部分の信号を強調することで、より見やすくする技術です。
定輝度化信号処理: ガンマ補正による誤差を解消し、より正確な色再現を実現しました。
テレビカメラの高性能化: 順次走査型カメラやハイビジョンカメラなどの高性能なカメラを使用することで、撮影段階から高画質化を図りました。

受信側の高画質化技術

受信側では、以下の様な技術が用いられました。

ゴースト除去: 送信側で付加されたゴースト除去信号を利用して、ゴーストを低減しました。
順次走査方式: フレームメモリーを追加することにより、従来の飛び越し走査方式ではなく、順次走査方式を実現しました。これにより、ちらつきを抑えた滑らかな映像を表示することが可能になりました。
3次元Y/C分離: 輝度信号（Y）と色信号（C）をより正確に分離することで、色のにじみを抑え、解像度を向上させました。

クリアビジョンは、非対応のテレビでも通常の映像として視聴することができました。また、従来のNTSC方式で制作された番組でも、ゴースト除去機能を持つテレビであれば、ゴーストを軽減して視聴することができました。

ゴースト除去機能は、比較的高価格帯のテレビ、専用チューナー、S-VHSビデオデッキ（主にFEヘッドやジョグダイヤル、アフレコ・インサート機能、BSアナログチューナー内蔵）、HDD/DVDレコーダー、パソコン内蔵チューナーカードなどに搭載されていました。特に、日本ビクター製の『HR-X7』や『HR-VFG1』などが代表的な機種として知られています。

アナログ放送終了まで、ゴースト除去用の基準信号は常に放送に重畳されていました。

関連項目

ワイドクリアビジョン（EDTV II）: クリアビジョンの後継として開発された、より高画質のテレビ放送方式。
ハイビジョン: より高解像度な映像を実現するテレビ放送方式。
NTSC: 日本で採用されていたアナログテレビ放送の標準規格。
* EDTV: 標準画質を向上させたテレビ放送の総称。クリアビジョンはEDTVの一種です。

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