クリスティン・コースガード

クリスティン・コースガードとは

クリスティン・コースガード（Christine Marion Korsgaard, 1952年生まれ）は、アメリカ合衆国出身の著名な哲学者で、主に道徳哲学およびその歴史を専門としています。コースガードは道徳哲学と形而上学、心の哲学、人格の同一性、さらには規範性に関する多くの問題に取り組んできました。彼女の業績は、カント的視点からの道徳哲学の擁護に強く結びついており、彼女は現代における最も影響力ある道徳哲学者の一人とされています。

教育とキャリア

コースガードは、イースタン・イリノイ大学に入学し、2年間の在籍後にイリノイ大学へ編入し学士号を取得しました。その後、ハーバード大学に進み、著名な哲学者であるジョン・ロールズの指導のもとで博士号を取得しました。彼女の出身校であるホームウッド・フロスモア高校を1970年に卒業し、その後の教育と研究活動を経て、1991年にはハーバード大学で教授職を得ています。現在、彼女は同大学のアーサー・キングスレー・ポーター哲学教授として活躍しています。

2004年には、イリノイ大学より名誉博士号が授与され、これは彼女の卓越した学術的貢献を示しています。彼女はまた、アメリカ芸術科学アカデミーの会員に選ばれるなど、業界内でのその偉業が評価されています。

主な業績

コースガードの著作の中でも特に重要なものには、1996年に発表された『義務とアイデンティティの倫理学（The Sources of Normativity）』があります。これは、彼女が行ったタナー講義を基にしたもので、人間の価値に関する深い考察が展開されています。また、同年には『目的の王国の建築（Creating the Kingdom of Ends）』と題する論文集も出版し、カントの道徳哲学や現代におけるそのアプローチについても論じています。

彼女の2002年の講義『自己の構成：行為主体性、同一性、全一性（Self-Constitution: Agency, Identity, and Integrity）』は、オックスフォード大学で女性として初めてのジョン・ロック講義にあたります。これもまた、彼女の大きな業績とされています。

著作と論文

コースガードは、多くの著書を出版しており、その中には以下のものがあります：

• - (2009) Self-Constitution: Agency, Identity, and Integrity, Oxford University Press.
• - (2008) The Constitution of Agency, Oxford University Press.
• - (1996) The Sources of Normativity, Cambridge University Press. 翻訳版もあり、日本語では『義務とアイデンティティの倫理学――規範性の源泉』として2005年に出版されました。
• - (1996) Creating the Kingdom of Ends, Cambridge University Press.

彼女は論文も多数執筆しています。その一部には、例えば1986年に発表された「実践的理由への懐疑（Skepticism about Practical Reason）」や、1997年の「道具的理由の規範性（The Normativity of Instrumental Reason）」などがあります。

結論

コースガードの哲学的なアプローチは、規範性や道徳の基礎を理解する上で重要な視点を提供しています。彼女の研究は、カントの影響を受けながらも現代の倫理問題を掘り下げていくもので、哲学界において高く評価されています。彼女の業績は、道徳や倫理に関するさらなる思索を促す刺激となることでしょう。

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