クリスマス・イブ (テレビドラマ)

『クリスマス・イヴ』は、1990年10月12日から12月21日まで、TBS系列で金曜夜9時に放送された全11話のテレビドラマです。バブル経済が終わりを迎える時代の東京を舞台に、都市銀行で働く若い男女の恋愛模様を描き、多くの注目を集めました。

物語の中心は、大手都市銀行の都心支店に勤務する、総合職の男性と一般職の女性の恋愛です。彼らが結婚を目指す過程で直面する様々な出来事や感情が丁寧に描かれました。作品には、当時のバブル期特有の華やかさや、エリート銀行員のイメージが強く反映されています。また、同じ職場内での不倫や、仕事と恋愛の間で揺れ動く若者たちの葛藤など、多様な人間関係が織り交ぜられました。特に、クリスマス・イヴという日が物語の象徴的なモチーフとなり、この日を巡る登場人物たちの期待や喜び、すれ違いといった感情がドラマチックに描かれています。当時の社会情勢や、バブル期に活躍した人々の価値観を知る手がかりとなる作品です。

劇中の架空の銀行支店は、当時完成したばかりの日本電気本社ビル（NEC SUPER TOWER）がロケ地として使用されました。

このドラマは回を追うごとに人気が高まり、最終回では視聴率が20%を超えるヒット作となりました。

主題歌は、辛島美登里さんが歌う「サイレント・イヴ」です。この楽曲は、ドラマの人気と相まって大ヒットし、クリスマスの定番ソングとして定着しました。オリコンチャートで1位を獲得し、累計約80万枚を売り上げる記録的なヒットとなりました。

主演を務めたのは、仙道敦子さんと吉田栄作さんです。共演者には、清水美砂さん、松下由樹さん、ヒロミさん、羽田美智子さん、宅麻伸さんらが名を連ねています。

撮影中の有名なエピソードとして、前川杉作役のヒロミさんが、バラエティ番組収録中の事故で負傷し入院した一件があります。最終回の結婚式のシーンでは、他の出演者とは別に、入院先の病室で撮影が行われました。当時の編集技術を駆使して、自然な形でシーンに組み込まれたことは、制作側の努力を示す話として知られています。

ドラマの完結後、1991年にはスペシャルドラマ『クリスマス・イヴからはじめよう』が放送され、本編のその後の物語が描かれました。このスペシャル版には、唐沢寿明さんが出演しています。また、主演の仙道敦子さんと吉田栄作さん、そしてプロデューサーの遠藤環氏は、後に『徹底的に愛は…』でも再び組んでいます。

脚本は内館牧子さん、プロデュースは遠藤環氏が担当しました。演出は森山享氏らが務めています。

『クリスマス・イヴ』は、時代の空気感を反映しつつ、恋愛や人間関係の普遍的なテーマを描き、主題歌と共に今も語り継がれる日本の名作ドラマの一つです。

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