サイレント・イヴ

サイレント・イヴ：クリスマスソングの定番と、その波紋

1990年11月7日、シンガーソングライター辛島美登里のシングル「サイレント・イヴ」がファンハウスより発売されました。TBS系ドラマ『クリスマス・イブ』の主題歌として起用されたこの曲は、彼女の代表作にして最大のヒット曲となり、現在もクリスマスシーズンには多く聴かれる定番ソングとして親しまれています。

当初はカラオケトラックが収録されていませんでしたが、翌1991年10月25日にはカラオケトラックを追加収録したバージョンが、ジャケットデザインも変更されて再発売されました。この再リリースによって、オリコンチャートでは1990年度と1991年度の両年に渡ってチャートインを果たすというロングヒットとなりました。

楽曲は、辛島美登里自身が作詞・作曲を手掛け、若草恵が編曲を担当しています。カップリング曲には「Merry Christmas To You」が収録されており、これは辛島美登里が前年にリリースした企画アルバム『MERRY CHRISTMAS TO YOU』に収録された楽曲をソロバージョンとして再録したものです。オリジナル版は辛島美登里を含む4人の女性アーティスト（永井真理子、小林明子、麗美）によるコラボレーションでしたが、このシングルでは辛島美登里単独で歌われています。作詞は永井真理子と辛島美登里の共同作業です。

「サイレント・イヴ」は、その美しいメロディーと切ない歌詞で多くのリスナーの心を掴み、数々のアーティストによってカバーされることになります。

数多くのカバー作品

この曲のカバーの歴史は長く、実に多くのアーティストが「サイレント・イヴ」を自身の作品に取り入れています。

1991年にはインストゥルメンタル・グループのシャカタクがアルバム『サイレント・イヴ』でカバー。1993年にはあがた森魚、A.S.A.P.、永井みゆきといったアーティストがそれぞれ自身のアルバムに収録しています。

2008年には、稲垣潤一がアルバム『男と女 -TWO HEARTS TWO VOICES-』にて大貫妙子とのデュエットでカバー。さらに、稲垣潤一のコンサートでは辛島美登里本人がゲスト出演し、この曲のデュエットを披露した様子は、同アルバムのスペシャルエディションDVDに収録されています。同じアルバムには、辛島美登里が今井美樹の「PIECE OF MY WISH」をデュエットでカバーしたバージョンも収録されています。

以降もカバーは続き、2009年には沢田知可子、声優ユニットスフィアのメンバー高垣彩陽、2010年には野川さくら、2012年には青木隆治がカバー。2014年には如月千早（ゲーム『アイドルマスター』のキャラクター、歌は今井麻美）、華原朋美（辛島美登里とのデュエットでミュージックビデオも制作）、2015年には西田あい、2017年には島津亜矢、林部智史、城南海、2019年には水森かおり、2021年にはなつこ、そして2022年にはClariSと、実に多様なアーティストが時代を超えて「サイレント・イヴ」を歌い継いでいます。

これらのカバーは、オリジナルの持つ普遍的な魅力と、それぞれのアーティストの個性が見事に融合した、多彩な解釈を生み出しています。

「サイレント・イヴ」の持続的な人気

「サイレント・イヴ」は、リリースから30年以上を経た現在でも、クリスマスソングとして高い人気を誇り、多くの場所で歌われ続けています。その背景には、普遍的なテーマ、美しいメロディー、そして数々のアーティストによるカバーという、様々な要因が考えられます。辛島美登里の代表曲として、そして日本のクリスマスソングの定番として、「サイレント・イヴ」はこれからも多くの人々の心に響き続けることでしょう。

この曲は、GOLDEN☆BEST 辛島美登里にも収録されています。また、華原朋美のカバーバージョンはYouTubeで視聴可能です。

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