日本電気本社ビル

NEC本社ビル：日本の高度経済成長を象徴する高層建築

NEC本社ビルは、東京都港区芝にそびえ立つ地上43階地下4階建ての超高層ビルです。1990年に竣工し、NECスーパータワーという愛称で広く知られています。高さ180mを誇るその姿は、日本の高度経済成長期における建築技術の粋を集めたランドマークと言えるでしょう。

建築デザインと構造

日建設計による設計、鹿島建設と大林組による施工で実現したNEC本社ビルは、50～65mの高さにある開口部を境に、低層部、中層部、高層部の3つの層に区分されています。

低層部は、ほぼ正方形のロの字型平面をもち、中央には吹き抜けのアトリウムが広がっています。オフィスはアトリウムを挟んで配置され、開放的でコミュニケーションを促進する空間設計となっています。中層部と高層部は、採光に有利な東西に長い長方形の形状で、中層部には主にオフィススペース、高層部には役員室や会議室などが配置されています。最上階には、接待用のレセプションルームが設けられています。

ビルの大きな特徴は、13階から15階に位置する「ウインドアベニュー」と呼ばれる巨大な開口部です。社員公募によって命名されたこの開口部は、周辺へのビル風による影響を軽減する役割を担っています。同時に、低層部のアトリウムへの採光や、外気を取り入れることで空調効率を高めるなど、省エネルギーにも貢献しています。この開口部の設計は、近隣の都営住宅への配慮から生まれたもので、南北方向の風の影響を考慮した結果、南北に開口部が設けられました。

構造面では、低層部の低密度と中・高層部高密度という特性に対応するため、「スーパーフレーム構造」と呼ばれる独自の架構方式が採用されています。建物北端と南端を柱に見立て、その間に目の字型にフレームを入れることで、中・高層部を効率的に支え、エレベーターや階段などの集中も効果的に管理しています。

建設と売却

総工事費は600億円にのぼり、平米単価は41万円でした。S、SRC、RC構造を組み合わせた堅牢な建物となっています。しかし、NECの業績不振を受け、本社ビルは2000年に証券化スキームにより900億円で売却されました。その後、2006年には持分50%が不動産投資信託へ売却されましたが、NECは現在も建物全体を賃借して本社として利用しています。

アクセスと受賞歴

NEC本社ビルは、JR山手線・京浜東北線田町駅から徒歩5分、都営地下鉄三田線・浅草線三田駅直結とアクセスも良好です。また、建築界において高い評価を得ており、第32回BCS賞、1994年度グッドデザイン賞を受賞しています。

まとめ

NEC本社ビルは、高度な建築技術と環境への配慮、そして時代の変遷を反映した歴史を持つ、日本の代表的な高層建築物です。そのデザイン性と機能性は、現代建築においても高く評価されており、日本の都市景観に大きな影響を与え続けています。 今後の維持管理、更なる機能向上、そして持続可能な社会への貢献が期待されます。

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