クリス・スペディング

クリス・スペディング：英国が誇る伝説のギタリスト

クリス・スペディング（Chris Spedding、1944年6月17日 - ）は、イングランド出身のギタリスト。その卓越した技術と幅広い音楽性から、英国屈指のセッション・ギタリストとして知られています。1960年代から現在に至るまで、ヨーロッパやアメリカを舞台に、数多くの著名なアーティストと共演し、多岐にわたる音楽活動を展開しています。

生い立ちと初期のキャリア

ダービーシャーでピーター・ロビンソンとして生まれたスペディングは、幼少期に里子に出され、養父母のスペディング夫妻に育てられました。その後、クリストファー・ジョン・スペディングに改名。

1960年代後半には、フランク・リコッティ・カルテットへの参加を機にプロとしてのキャリアをスタートさせます。その後、ピート・ブラウン・アンド・ヒズ・バタード・オーナメンツに加入し、リード・ボーカリストも務めました。また、ジャック・ブルースのソロ・アルバムへの客演など、その才能は早くから注目を集めました。

ソロ活動とセッション・ギタリストとしての活躍

1970年には、初のソロ・アルバム『無言歌』をリリース。ロックと並行してジャズ・プレイヤーとしても活動し、ニュークリアスへの参加やマイケル・ギブスとのツアーも行いました。1970年代に入ると、ハリー・ニルソンのアルバム・レコーディングに参加し、その後アンディ・フレイザーとシャークスを結成。ロキシー・ミュージックとのツアーを行うなど、精力的な活動を展開しました。

シャークス解散後は、ロイ・ハーパーのバックバンドやジョン・ケイルとの共演など、セッション・ギタリストとして多忙な日々を送ります。1975年には、ソロ名義のシングル「モーターバイキン」がUKトップ20入りを果たし、一躍スターダムにのし上がりました。

セックス・ピストルズとの出会い

1976年、スペディングはセックス・ピストルズの最初のデモ・テープのプロデュースを担当。「Problems」「No Feelings」「Pretty Vacant」の3曲をレコーディングし、パンク・ロックの歴史に名を刻みました。

ブライアン・フェリーとの共演

ロキシー・ミュージック解散後、ブライアン・フェリーから依頼を受け、シングル「レッツ・スティック・トゥゲザー」やアルバム制作に参加。ワールド・ツアーにも参加し、1977年には初来日を果たしました。

その後の活動

1978年には、ジェフ・ウェインのコンセプト・アルバム『宇宙戦争』に参加。その後、ニューヨークに拠点を移し、ロバート・ゴードンのギタリストとして活躍しました。1980年代以降は、ソロ活動を継続しながら、トム・ウェイツやポール・マッカートニーなど、数多くのアーティストのレコーディングに参加。2001年には、再結成したロキシー・ミュージックのツアーに参加し、再び日本を訪れました。

2005年には、ロバート・ゴードンとのコンビを復活させ、ヨーロッパ・ツアーを敢行。現在もセッション・ギタリスト、ソロ・アーティストとして精力的に活動を続けています。

多彩な才能

クリス・スペディングは、卓越したギターテクニックに加え、作曲、プロデュース能力も高く評価されています。また、1970年代には子供向けテレビ番組に出演するなど、そのユーモラスな一面も持ち合わせています。音楽に対する真摯な姿勢と幅広い才能で、長きにわたり音楽シーンを牽引してきた、まさにレジェンドと呼ぶにふさわしいギタリストです。

ディスコグラフィー (アルバム)

『無言歌』 - Songs Without Words (1970年)
『スペディング／ザ・ギタリスト』 - Spedding The Guitarist (1970年) ※日本のみ企画盤
『バックウッド・プログレッション』 - Backwood Progression (1971年)
『クリス・スペディングの世界』 - Only Lick I Know (1972年)
『クリス・スペディング』 - Chris Spedding (1976年)
『ハート』 - Hurt (1977年) ※旧邦題『必殺ギター！』
『ギター・グラフィティ』 - Guitar Graffiti (1978年)
I'm Not Like Everybody Else (1980年)
Friday the 13th (1981年)
『エネミー・ウィズイン』 - Enemy Within (1986年)
『カフェ・デイズ』 - Cafe Days (1990年)
『ジャスト・プラグ・ヒム・イン』 - Just Plug Him In! (1991年)
Gesundheit! (1995年)
One Step Ahead Of The Blues (2002年)
Click Clack (2005年)
It's Now Or Never (2007年)
Pearls (2011年)
『ジョイランド』 - Joyland (2015年)

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