クリテリウム・デュ・ドフィネ

クリテリウム・デュ・ドフィネは、UCIワールドツアーに組み込まれている権威ある自転車プロロードレースです。フランス南部のドフィネ地方を中心とした地域を舞台に、毎年熱戦が繰り広げられています。1947年から開催されている歴史ある大会であり、長きにわたり自転車ファンに愛されてきました。

2009年までは、ドフィネ・リベレ新聞社が主催していたため、「クリテリウム・デュ・ドフィネ・リベレ」という名称で広く知られていました。しかし、2010年以降は、ツール・ド・フランスを主催するASO（アモリ・スポル・オルガニザシオン）が開催権を取得し、大会名も「クリテリウム・デュ・ドフィネ」に変更されました。

このレースは、通常1週間程度の期間で開催され、ツール・ド・フランスの約1ヶ月前に開催されるため、出場選手にとっては重要な前哨戦と位置づけられています。同じ時期に開催されるツール・ド・スイスと並び、ツール・ド・フランスに向けた最終調整の場として、多くのトップ選手が参加します。

コースの特徴としては、アルプス山脈を中心とした山岳コースが多く設定されている点が挙げられます。これらの山岳コースは、ツール・ド・フランスのコースとほぼ同じものが使用されることも少なくありません。そのため、クリテリウム・デュ・ドフィネは、ツール・ド・フランスのコースを試走する機会としても重要視されています。

過去には、「死の山」という異名を持つモン・ヴァントゥへの頂上ゴールが設定されたこともあり、選手たちを苦しめてきました。2010年には、ラルプ・デュエズがゴール地点となるなど、名だたる難関山岳が登場することでも知られています。

クリテリウム・デュ・ドフィネの歴代優勝者の中には、後にツール・ド・フランスで総合優勝を果たす選手が多数存在します。2020年現在、過去にツール・ド・フランスで総合優勝を果たしたことのある選手のうち、クリテリウム・デュ・ドフィネでも優勝経験を持つ選手は、延べ22名（12選手）に及びます。これは、クリテリウム・デュ・ドフィネが、ツール・ド・フランスを制覇するための登竜門としての役割も担っていることを示しています。

クリテリウム・デュ・ドフィネは、美しい景観の中を駆け抜ける選手たちの姿や、激しい山岳バトルなど、見どころ満載のレースです。ツール・ド・フランスの前哨戦として、また、独立したレースとしても、その魅力は色褪せることなく、多くのファンを魅了し続けています。

もう一度検索