クリフサイド

横浜の社交場「クリフサイド」：歴史と文化が交差する多目的ホール

「クリフサイド」は、神奈川県横浜市中区元町に位置する多目的イベントホールです。株式会社クリフサイドによって運営されており、その歴史は1946年にダンスホールとして幕を開けました。1950年代から1960年代にかけては、「ナイトアンドデイ」「ブルースカイ」と並び、横浜を代表する大規模なナイトクラブとして名を馳せました。

歴史

クリフサイドの歴史は、1946年8月に元町の代官坂近く、約600坪の土地に建てられた木造2階建ての「山手舞踏場」から始まりました。その後、「クリフサイド」と名を改め、ナイトクラブとして新たな道を歩み始めます。

豪華絢爛な社交場

メインのダンスフロアは約100平方メートルの広さを誇り、通常の3階分に相当する吹き抜けが設けられていました。床には桜の木が使用され、その美しさが空間を彩っていました。創業当初は、一部の富裕層のみが入店を許される高級店であり、飲食の提供はもちろん、従業員の女性ダンサーが客のダンスパートナーを務めるという、華やかな社交場でした。女性ダンサーの数は最盛期には200人にも上ったといいます。当時の銀行員の初任給が220円であった時代に、ダンスチケット10回分が40円という価格設定からも、その高級さがうかがえます。しかし、経済成長とともに、より幅広い層の人々が訪れるようになり、横浜の社交場としてその名を広めていきました。

ジャズ文化とクリフサイド

当時、横浜には在日米軍施設が多かったことから、ジャズ文化が深く根付いていました。若者たちは、クリフサイドのようなナイトクラブで踊り明かすことが、当時の流行でした。初期には、トランペッターの南里文雄が頻繁にステージに立ち、その功績を称え、2階の小宴会場は現在「トランペット・ルーム」と呼ばれています。

多様化するクリフサイド

1990年代に入ると、ナイトクラブとしての役割は徐々に薄れ、バンド演奏やレストラン、バーとしての営業が中心となっていきました。しかし、週末にはダンスパーティーが開催され、往年の雰囲気を偲ばせる場として親しまれていました。2016年には、BS-TBSの歌謡番組「今甦る!魅惑のムード歌謡スペシャル パート2」の収録が行われ、鶴岡雅義と東京ロマンチカ、ロスインディオス、マヒナスターズ、菅原洋一、内田あかりといった豪華な出演者たちが、往年のヒット曲を披露しました。

舞台となった作品

クリフサイドは、数々の映画やミュージックビデオの舞台としても利用されています。

映画

上海帰りのリル（1952年）
組織暴力（1967年）

小説

化身（1984年）

ミュージックビデオ

完璧ぐ～のね（2009年）
ありがとう（2010年）
Mosh & Dive（2013年）
人生はSTEP!（2016年）
恋☆煌メケーション!!!（2016年）
若い広場（2017年）
Love me, Love you（2018年）
三角形の空き地（2018年）
Da Dan Dance!（2019年）
Diary（2022年）
kyo-do?（2023年）
ホテルニュートリノ（2024年）
雨が降ったって（2024年）
* 馬鹿の一つ覚え（2024年）

クリフサイドは、横浜の歴史と文化を今に伝える貴重な存在です。かつての華やかな社交場としての面影を残しつつ、多様なイベントに対応できる多目的ホールとして、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

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