クリミア・ソビエト社会主義共和国

クリミア・ソビエト社会主義共和国

クリミア・ソビエト社会主義共和国は、1919年のごく短い期間、クリミア半島に存在したボリシェヴィキによる国家です。ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国の一部として位置づけられ、首都はシンフェロポリに置かれました。クリミア社会主義ソビエト共和国とも呼ばれています。

歴史的背景

1919年4月、ボリシェヴィキは前年のタヴリダ・ソビエト社会主義共和国に続き、クリミア半島への二度目の侵攻を行いました。赤軍第3軍がケルチ半島を除くクリミア全域を占領し、4月28日から29日にかけてシンフェロポリで開催されたボリシェヴィキ地方党大会において、クリミア・ソビエト社会主義共和国の建国と革命委員会政府の発足が決議されました。4月30日には、ボリシェヴィキはクリミア半島全域を支配下に置き、5月5日にはドミトリー・ウリヤーノフ（ウラジーミル・レーニンの弟）を議長とする政府が発足しました。

同日、第3ウクライナ・ソビエト部門の下にクリミア・ソビエト軍が形成され、6月6日にはソビエト・クリミアがロシア、ウクライナ、リトアニア＝白ロシア、ラトビアから成る軍事同盟に参加しました。さらに、5月15日に発足したクリミア共和国革命軍事会議は、6月5日にクリミア軍革命軍事会議へと改組されました。

政治と社会

ソビエト・クリミアは、民族間の平等を原則とする非ネイション国家であると宣言されました。産業の国有化、地主、クラーク（富農）、教会の土地の没収が実施され、クリミア・タタール人の利益を以前のタヴリダ・ソビエト社会主義共和国よりも重視する政策が取られました。タタール人の左派人士は政府内で要職に就くことも許され、社会では、なめし皮、缶詰、タバコ工場の復旧に力が注がれました。また、ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国人民委員会議の支援を受け、クリミアをリゾート地として再興させる試みも行われました。

崩壊とその後

しかし、5月下旬には白軍のアントーン・デニーキン率いる義勇軍がソビエト・クリミアを脅かし始め、6月18日にはヤーコフ・スラシチョーフ指揮下の白軍勢力がコクテベリに上陸しました。最終的に、ソビエト・クリミアの指導者たちは6月23日から26日にかけてクリミアを脱出し、ヘルソンやモスクワへ逃れました。その後、白軍がクリミアを支配下に置き、この短命な共和国は消滅しました。

主な閣僚

ドミトリー・ウリヤーノフ - 人民委員会議議長・保健人民委員
パヴェル・ディベンコ - 陸海軍人民委員
イワン・ナズキン - 教育人民委員
アレクサンドラ・コロンタイ - 宣伝人民委員
I・イブライモフ - 法務人民委員
S・イドリソフ - 農務人民委員
* S・メメトフ - 外務人民委員

まとめ

クリミア・ソビエト社会主義共和国は、短期間ではありましたが、クリミア半島におけるボリシェヴィキの支配を象徴する存在でした。民族平等の理念や産業国有化といった政策は、その後のソビエト連邦の形成に影響を与えたと考えられます。しかし、白軍の侵攻により短期間でその歴史を終えることになりました。

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