クリミア独立宣言

クリミア・セヴァストポリ独立宣言とは

クリミア・セヴァストポリ独立宣言は、2014年3月11日にウクライナ領内のクリミア自治共和国最高会議とセヴァストポリ特別市が共同で採択した決議です。この宣言は、その後のクリミア半島の帰属を巡る一連の出来事の重要な出発点となりました。

独立宣言の背景

2013年11月からウクライナで発生した反政府運動、いわゆるユーロマイダン革命は、2014年2月にヴィクトル・ヤヌコーヴィチ政権を崩壊させました。これにより、オレクサンドル・トゥルチノフを大統領代行とする暫定政権が発足しましたが、クリミア自治共和国では、ロシア系住民が多く、この政権を承認しませんでした。

ロシアは、自国語を話す住民の保護を名目に、クリミアへの軍事介入を決定しました。プーチン大統領は上院の承認を得て、3月1日にクリミアへの軍事介入を開始し、数日のうちにクリミアを事実上支配下に置きました。ヤヌコーヴィチ大統領（当時）からの要請があったことが、ロシア側の介入の根拠とされました。

3月6日、クリミア最高会議はロシアへの帰属を求める決議を採択し、3月16日に住民投票を実施することを決定しました。これに対し、ウクライナ暫定政権は住民投票の違憲性を主張し、欧米諸国もその合法性に疑問を呈しました。

独立宣言の内容

2014年3月11日、クリミア最高会議は、3月16日の住民投票でロシアへの編入が多数を占めた場合、クリミア自治共和国とセヴァストポリ特別市がウクライナから独立し、ロシアへの編入を提案するという内容の決議を採択しました。この決議に基づいて、クリミア共和国・セヴァストポリ特別市独立宣言が発表されました。

独立宣言は、国際連合憲章や民族自決の原則、国際司法裁判所の判例などを根拠としています。クリミア最高会議は、独立宣言がいかなる国際法にも抵触しないと主張しました。また、クリミア独立後にはクリミア・タタール語を公用語化するという決定も行われ、ロシア編入に反対するクリミア・タタール人への配慮を示しました。

3月16日に行われた住民投票では、ロシアへの編入が圧倒的な支持を得て、翌17日、クリミア最高会議はウクライナからの独立とロシア連邦への編入を正式に決定しました。

独立宣言の目的と影響

独立宣言は、クリミアの分離を既成事実化し、独立国家としてロシアに編入されるための形式を整えることを目的としていました。国際法上、当該国同士の合意なしに領土の帰属変更を行うことは認められないという懸念がありました。

しかし、ウクライナ暫定政権は独立宣言を違法であると非難し、クリミアに再考を促す決議を採択しました。また、ヤヌコーヴィチ大統領の出身政党である地域党からも独立宣言に対する反対の声が上がりました。

国際社会もこの独立宣言を認めませんでした。日本は、ウクライナ領土の一体性確保やウクライナ憲法の規定を理由に、独立宣言の有効性に疑問があると表明しました。アメリカ合衆国も、独立宣言はウクライナ憲法に違反すると非難しました。一方で、ロシアは独立宣言を合法的なものと認め、住民投票の結果を尊重する姿勢を示しました。

関連項目

* 2014年クリミア危機

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