クリミア盾章

クリミア盾章について

クリミア盾章（ドイツ語: Krimschild）は、ナチス・ドイツが第二次世界大戦中に授与した軍の袖用盾章の一つです。この盾章は、約250,000個が発行されたことからも、その重要性と多数の授与者を際立たせています。

背景

1941年、独ソ戦が始まった後、ドイツ国防軍の南方軍集団は、クリミア半島をめぐってソビエト赤軍と熾烈な戦闘を繰り広げました。この戦闘は、1942年7月4日までの約1年間続き、特にセヴァストポリ包囲戦によってドイツ軍はクリミア半島の占領を達成しました。この勝利を記念するため、アドルフ・ヒトラーは、エーリヒ・フォン・マンシュタイン陸軍元帥が指揮する第11軍の将兵全員に盾章を授与することを決定しました。このようにして、クリミア盾章が制定されることとなりました。

デザイン

クリミア盾章のデザインは独特で、上部には国家の象徴である鷲章が配置されています。左右には、クリミア争奪戦が始まった年「1941」と、終了した年「1942」の数字が刻まれています。また、背景にはクリミア半島の地図が描かれており、ドイツ語で「KRIM」と記されています。これらの要素は、戦争の特定の期間と地理的背景を示す効果的なシンボルとなっています。

受章資格

クリミア盾章を受章するためには、以下の戦闘のいずれかに参加していることが条件とされました：

• - 1941年9月21日から9月30日のペレコープの戦い
• - 1941年10月18日から10月27日のユシュンの戦い
• - 1941年10月28日から11月16日のケルチ半島の戦い
• - 1941年12月17日から12月31日の第一次セヴァストポリ要塞攻囲戦
• - 1942年1月15日から1月18日のフェオドシアの戦い
• - 1942年1月19日から5月7日に行われた防衛戦
• - 1942年5月8日から5月21日のケルチ半島再占領
• - 1942年6月7日から7月4日の第二次セヴァストポリ要塞攻囲戦

さらに、戦闘中に負傷した場合や、クリミア半島で3か月以上従軍した場合も、受章資格に含まれていました。受章者はドイツ軍人に限らず、ルーマニア軍人にも広がっていました。

佩用

クリミア盾章は、軍服の左袖に裏布と共に縫い付けて用いるのが一般的でした。しかし、一部の兵士は美しさを求め、盾章だけをピンで直接左袖に留めて佩用することもありました。また、盾章の裏布の色は、所属する部隊によって異なるため、それぞれの部隊の特徴を示す役割も担っていました。具体的には、陸軍は緑、空軍は青、装甲部隊は黒の裏布を使用していました。

このように、クリミア盾章はその背後にある歴史と個々の戦士たちの貢献を記念する大事な記章です。

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