クルエーン/ランゲル＝セント・イライアス/グレイシャー・ベイ/タッチェンシニー＝アルセク

クルエーン/ランゲル＝セント・イライアス/グレイシャー・ベイ/タッチェンシニー＝アルセクは、アメリカ合衆国とカナダに跨る広大な複合世界遺産です。北米大陸の太平洋側に位置し、カナダのユーコン準州とブリティッシュコロンビア州、アメリカのアラスカ州にまたがっています。

この地域は、壮大な氷河や雪原が織りなす息を呑むような景観美で知られています。また、グリズリー（ハイイログマ）、トナカイ、ドールビッグホーンといった大型哺乳類をはじめ、オオカミ、サケ、シロイワヤギなど、多様な野生動物が生息する貴重な自然環境です。その比類なき自然の価値が認められ、1979年に世界遺産に登録されました。

この世界遺産は、以下の４つの保護地域で構成されています。

グレイシャーベイ国立公園（アメリカ）
クルアーニー国立公園（カナダ）
タッチェンシニー＝アルセク州立公園（カナダ）
ランゲル＝セント・イライアス国立公園（アメリカ）

特にタッチェンシニー＝アルセク州立公園は、ブリティッシュコロンビア州の北西端に位置し、かつて鉱山開発の危機に瀕しました。しかし、地元住民や環境保護団体の尽力により、1993年に州立公園として保護され、世界遺産地域に組み込まれました。この出来事は、自然保護に対する意識の高まりを示す象徴的な事例と言えるでしょう。

この世界遺産の登録基準は以下の通りです。

(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの：氷河が削り出した壮大な地形、雪を頂く山々、豊かな森林など、この地域は他に類を見ない自然美を誇ります。
(8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる：氷河の侵食作用によって形成された複雑な地形は、地球の歴史と地質学的プロセスを物語る貴重な証拠です。
(9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの：この地域は、異なる生態系が複雑に絡み合う場所であり、動植物の進化と生態系発達の過程を観察する上で重要な場所です。
(10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる：希少な動植物を含む多様な生物が生息するこの地域は、生物多様性の保全において非常に重要な役割を担っています。

クルエーン/ランゲル＝セント・イライアス/グレイシャー・ベイ/タッチェンシニー＝アルセクは、その壮大な自然と生態学的価値において、世界的に重要な場所です。この地域の保護は、将来の世代にこの自然遺産を引き継ぐための責任ある行動と言えるでしょう。

[外部リンク]
Kluane / Wrangell-St Elias / Glacier Bay / Tatshenshini-Alsek - UNESCO

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