シロイワヤギ

シロイワヤギ（Oreamnos americanus）

シロイワヤギは、ウシ科シロイワヤギ属に属する唯一の種で、別名シロカモシカやマウンテンゴートとも呼ばれています。主にアメリカ合衆国とカナダのロッキー山脈周辺に生息しており、その魅力的な外見と高度な適応能力で知られています。

分布

シロイワヤギは、以下の亜種が存在し、それぞれ特定の地域に分布しています。

• - カスケードシロイワヤギ (O. a. americanus): アメリカのオレゴン州とワシントン州。
• - コロンビアシロイワヤギ (O. a. columbinae): カナダのブリティッシュコロンビア州北部。
• - アラスカシロイワヤギ (O. a. kennedyi): アメリカのアラスカ州南東部。
• - モンタナシロイワヤギ (O. a. missoulae): アメリカのアイダホ州とモンタナ州。

これらの亜種は、それぞれ異なる環境に適応しており、特定の地域での生態系において重要な役割を果たしています。

形態

シロイワヤギは、体長がオスで約140-190センチ、肩高が90-114センチ、体重は65-135キロに達する大型の動物です。特筆すべきは、その体毛で、下顎や頸部、肩、腰、臀部、前肢基部の毛が特に長く、全体を黄白色に覆っています。

角は雌雄共に存在し、細長く基部から少し後方に向かい、先端が湾曲しています。耳は長く尖っており、あまり突き出ていない目の周りは柔らかな毛に包まれています。足は頑丈で、特に中手骨や中足骨が短く、幅広い構造をしています。さらに、オスは角の先端が特に顕著に湾曲している点が特徴です。また、乳頭の数は通常4個となっています。

生態

シロイワヤギは主に山地に生息し、特に寒冷地や海岸地域にも見られます。夏になると標高の高い場所へ移動し、昼行性の習性を持っています。通常はペアまたは小規模な群れを形成し、生活していますが、冬の厳しい環境下では食料を巡って争うこともあります。

天敵にはハイイログマなどが存在し、彼らに対抗するために、シロイワヤギは鋭い角を用います。証拠として、ヨーホー国立公園での事件が挙げられます。あるハイイログマがシロイワヤギを襲おうとした結果、シロイワヤギの反撃に遭い、死亡したとされています。この事例は、シロイワヤギが捕食者に対して勇敢に抵抗できることを示しています。

シロイワヤギの移動能力は非常に優れており、切り立った崖や山岳地帯でも巧みに行動し、1日に何百メートルもの標高差を昇降することが可能です。特に彼らの蹄は、登山靴のように岩の表面をしっかりと捉える特性があり、3メートルもの高さで跳躍することもできます。

食性は主に草食で、木の葉や草、コケ、地衣類などを摂取します。また、ミネラルを補うために岩の表面を舐める行動も観察されています。

繁殖

繁殖の方法は胎生で、妊娠期間は178から180日とされています。通常、1回の出産で1頭から2頭（主に1頭）の幼獣を出産します。これらの幼獣は、母親の保護のもとで成長し、厳しい自然環境の中で生き抜く力を養います。天敵としては、クマやオオカミ、ピューマなどが挙げられますが、シロイワヤギは巧妙に自らを守る術を持っています。

シロイワヤギは、その独特な外見と興味深い生態から、山岳地帯の自然環境において重要な役割を果たす生物であると言えます。

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