クルジャリ州

クルジャリ州は、ブルガリアの最南端に位置する州であり、その地理的な特徴から、南に隣接するギリシャの東マケドニア・トラキア地方と国境を共有しています。この地域は、歴史的、文化的にも興味深い背景を持っており、ブルガリアの他の州とは異なる独自の文化が形成されています。

特筆すべきは、クルジャリ州がブルガリアの州の中で唯一、トルコ系の住民が多数派を占めている点です。これは、オスマン帝国時代の歴史的な影響を色濃く残していることを示しており、住民構成においてもその特徴が顕著に表れています。2001年のデータでは、州全体の人口164,019人のうち、トルコ系住民が101,116人（61.6%）を占め、ブルガリア人住民は55,939人（34.1%）となっています。その他、ロマ系住民が1,264人（0.8%）、その他の民族が5,700人（3.5%）となっています。

クルジャリ州には、以下の基礎自治体が含まれています。

クルジャリ（Kardzhali）: この州の主要都市であり、トルコ語ではクルジャアリ（Kırcaali）と呼ばれていました。州の名前の由来にもなっています。
アルディノ（Ardino）: トルコ語での旧名はエーリデレ（Eğridere）でした。
ジェベル（Dzhebel）: トルコ語での旧名は同じくジェベル（Cebel）です。
キルコヴォ（Kirkovo）: トルコ語名ではクルコヴァ（Kırkova）と呼ばれます。
クルモヴグラト（Krumovgrad）: トルコ語での旧名はコシュカヴァク（Koşukavak）でした。
モムチルグラト（Momchilgrad）: かつてはトルコ語でメスタンル（Mestanlı）と呼ばれていました。
* チェルノチェネ（Chernoochene）: トルコ語での旧名はカラギョズレル（Karagözler）で、「黒い目」という意味を持ちます。

これらの基礎自治体は、それぞれが歴史的な背景や文化的な特徴を持っており、クルジャリ州全体の多様性を形成する上で重要な役割を果たしています。トルコ系住民が多数派であることから、トルコ文化の影響を強く受けている地域も多く、言語、食文化、習慣など、さまざまな面でブルガリアの他の地域とは異なる独自の文化が見られます。この文化的な多様性は、クルジャリ州の大きな魅力の一つであり、観光客にとっても興味深い対象となっています。また、この地域は農業も盛んであり、特にタバコの生産が有名です。自然豊かな地域でもあり、ロドピ山脈の一部が州内を通っているため、美しい景観を楽しむこともできます。

クルジャリ州は、ブルガリアの南端に位置する地理的な特性と、トルコ系住民が多数派であるという歴史的な背景から、ブルガリア国内でも特に多様な文化を持つ地域として知られています。このユニークな文化は、訪れる人々に新しい発見と体験をもたらしてくれるでしょう。

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