クルテア・デ・アルジェシュ

クルテア・デ・アルジェシュ：歴史と伝説が息づくルーマニアの古都

クルテア・デ・アルジェシュは、ルーマニアのアルジェシュ県に位置する都市であり、ファガラシュ山脈の谷を流れるアルジェシュ川の右岸にあります。ピテシュティからトゥルヌ・ロシュ峠へと続く鉄道が通っており、交通の要衝でもあります。この地は、陶業と木材加工が盛んなことで知られています。

歴史

クルテア・デ・アルジェシュには、鉄器時代から集落が存在していました。記録に初めて登場するのは14世紀ですが、それ以前から人々が生活していたことがわかります。言い伝えによれば、13世紀初期に伝説的なワラキア公ラドゥ・ネグル公によって、クンプルングに次ぐワラキア公国の首都とされたとされています。市名が「宮廷」を意味するのは、この故事に由来します。町の中心部には、13世紀に建造されたとされるワラキア公の宮殿の廃墟が残っており、その歴史を物語っています。

14世紀には、エステルゴム大司教の管轄下にあったカトリック教会の司教座がアルジェシュを包囲しましたが、後に正教会がこの地を奪還しました。市内には、中世の教会が数多く存在し、18世紀まで主教座が置かれていました。

クルテア・デ・アルジェシュ聖堂

この都市で最も有名な建造物は、1512年から1517年にかけてネアゴエ・バサラブによって建立されたクルテア・デ・アルジェシュ聖堂です。この聖堂は、ルーマニア王家の墓所となっており、ルーマニアの歴史において重要な役割を果たしてきました。外壁の彫刻と内部の壁画の美しさは特筆に値します。

この聖堂の建設には、マノレ親方が人柱になったという伝説が残っています。この伝説は、地元で語り継がれるバラードの題材にもなっています。聖堂の建設には多くの犠牲が伴ったことを物語る、悲しい伝説です。

その他の教会と遺跡

クルテア・デ・アルジェシュには、他にも重要な教会が存在します。その一つが、バサラブ1世公が建てたドムネアスカ教会（王立教会）です。2003年から2004年にかけて修繕が完了し、美しい姿を取り戻しました。教会は石造要塞のような外観をしており、近隣の丘に建つ防衛塔へは地下納骨堂を通じて繋がっています。

ワラキア公宮殿の複合遺跡もまた、この地の歴史を物語る重要な場所です。この宮殿は、作家アレクサンドル・オドベスクの作品「Doamna Chiajna」にも登場します。

人口

クルテア・デ・アルジェシュの人口は、1900年には4,210人でしたが、2000年には32,628人に増加しました。この人口増加は、都市の発展と工業化によるものと考えられます。

クルテア・デ・アルジェシュは、豊かな歴史と文化、そして美しい自然に恵まれた都市です。ルーマニアを訪れる際には、ぜひこの街を訪れて、その魅力を体験してください。

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