クルディスタン民主党

クルディスタン民主党 (KDP)

クルディスタン民主党（KDP）は、イラク北部を中心に活動するクルド人の主要政党の一つです。1946年に、イランで民族独立を志向するムスタファ・バルザーニーによって設立されたこの党は、当初はクルド人反体制の団体として、クルディスタン愛国同盟と並ぶ二大勢力の一角を占めることとなります。最盛期には約1万5千人のメンバーが存在するとされています。

KDPは、1960年代から1970年代にかけて、イラク共産党との連携を持ちながら内容を変えていきました。特に1970年には、クルド人自治区の成立に寄与し、その後の国民進歩戦線への参加を通じて、バアス党との関係を深めました。後に副大統領を務めたターハー・ムヒーウッディーン・マアルーフなども、KDPから出てきた重要な政治家です。

1975年、党幹部のジャラール・タラバーニーはクルディスタン愛国同盟を設立し、これが引き金となってKDP内の対立が顕在化します。それでも、対イラク独立を目指す共通の目標があり、1987年から1992年までは共同で行動しました。その結果、1992年には「クルド民族議会」が選出されましたが、1994年以降、資金源や貿易路線を巡って再び対立し始めます。

KDPはその後、イランの支援を受けたクルディスタン愛国同盟に対抗する形で、宿敵であったサッダーム・フセイン政権と接触を持ちました。この複雑な状況は、米国の仲介を経て両勢力が停戦し、政治的対話を進めることになるまで続きました。2005年の選挙では、KDPはクルディスタン愛国同盟と統一会派を組み、地域政治において重要な役割を果たすこととなります。

現在の党首であるマスウード・バルザーニーは、ムスタファ・バルザーニーの四男で、彼はイラン・イラク戦争時代に党の幹部となり、政党を支えてきました。KDPはトルコとの関係も複雑で、同じくクルド系の政党であるクルディスタン労働者党（PKK）との関係は悪化しています。しかし、バルザーニーは、現在進行中のトルコ軍とPKKの対立において、イラク国内にいるPKKを守る姿勢を明確にしています。これは地域における複雑な民族関係や政治ダイナミクスを反映しており、KDPの役割は今後も注目されるでしょう。

このように、クルディスタン民主党はイラクの政治の中で、クルド人の権利を擁護し、国家の独立を模索し続けています。

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