クルムホルン

クルムホルン：ルネサンス期のユニークな木管楽器

クルムホルンは、ルネサンス期に親しまれた独特な木管楽器です。その名前は、ドイツ語で「曲がったホルン」を意味する「Krumhorn」に由来し、特徴的な形状をよく表しています。20世紀に入り、古楽への関心が高まるにつれて、再び演奏されるようになりました。

名前と形状

クルムホルンの語源である「Krummhorn」は、「Krumm」（曲線）と「Horn」（角笛）から成り立っています。楽器の形状は、先端が上向きに弧を描いて曲がっており、バナナやアルファベットのJのような形をしています。

構造と音色

クルムホルンは、リードがキャップで覆われた構造を持ち、バグパイプのチャンターに似ています。歌口のキャップに息を吹き込み、ダブルリードを振動させて音を出します。指穴の開閉によって音高を調節しますが、音域は通常、長9度と比較的狭いです。オーバーブローも理論上は可能ですが、実際には基音の範囲で演奏されることがほとんどです。

クルムホルンの音色は、「大きなビー」と表現されるように、独特で存在感があります。音域の制限から、異なる音域の楽器を組み合わせて演奏されることが多く、クルムホルン・コンソートと呼ばれるグループが編成されます。

音楽と歴史

クルムホルンは、ルネサンス期の他の楽器と同様に、ソプラノ、アルト、テナー、バスの4種類が基本です。さらに高い音域や低い音域の楽器も存在しましたが、コントラバスが加わる程度でした。C管やF管の楽器がよく使われました。

ヨハン・ヘルマン・シャインは、曲集『音楽の饗宴』にクルムホルンのための作品を収録しています。ミヒャエル・プレトリウスは、宗教声楽曲の中で、クルムホルンをトロンボーンなどの代替楽器として使用できると記しています。アントニー・ホルボーンの作品も、クルムホルンでの演奏に適しています。

クルムホルンは、その独特な形状と音色で、ルネサンス音楽に彩りを添えました。古楽復興とともに、現代でもその魅力が再発見されています。

関連項目

古楽器
中世西洋音楽
* ルネサンス音楽

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