クレイグ・ギレスピー

クレイグ・ギレスピー：広告からハリウッドへ至る独自のキャリアパス

クレイグ・ギレスピー（1967年9月1日生まれ）は、オーストラリア出身の著名な映画監督です。時に「クレイグ・ガレスピー」と表記されることもあります。シドニーで生まれ育った彼は、19歳の時にアメリカ合衆国へと渡り、マンハッタン視覚芸術学校でイラスト、グラフィックデザイン、広告デザインを学びました。

彼の映画監督としてのキャリアは、決して順風満帆なものではありませんでした。20代前半、友人の映画監督の勧めで映画製作に興味を持ったギレスピーは、まず商業広告の世界に足を踏み入れました。15年間に渡り、数々の広告作品を手掛け、撮影監督のアダム・キメルやロドリゴ・プリエトらと共に、高い評価を得る数々のCMを制作しました。

この期間、ギレスピーは複数の広告代理店を渡り歩き、5年間で6社もの会社に勤めた時期もありました。その間、数々の賞を受賞するなど、クリエイティブな才能を遺憾なく発揮しました。しかし、その道のりは決して平坦ではありませんでした。ある脚本を手にした際、自身の得意とするダークユーモアを作品に取り入れようと試みました。しかし、観客が求めるのはもっと幅広いコメディであることに気づき、プロジェクトから降りるという決断をしました。その頃、制作会社ニューライン・シネマも経営難に陥っていたことも、彼の決断を後押ししたと言えるでしょう。

転機となったのは『Mr.ウッドコック -史上最悪の体育教師-』でした。この作品の撮影後、彼は長年温めていた企画、『ラースと、その彼女』に着手しました。この作品には、ラブドールと恋をするという、一見すると突飛なアイデアがありました。ギレスピー自身も当初は「馬鹿げている」と感じていたこのアイデアでしたが、独自の視点と演出で、繊細かつユーモラスな作品に昇華させました。

その後も、ギレスピーは着実にキャリアを積んでいきます。2021年には、ディズニーの実写映画『クルエラ』を監督。ディズニーアニメーションの悪役として知られるクルエラ・ド・ヴィルの若き日の物語を、独自の解釈で描き、高い評価を得ました。2022年には、ドラマシリーズ『パム&トミー』のエピソード監督も務め、その多様な才能を改めて示しました。

ギレスピーの監督作品は、独特のユーモアと繊細な人間描写が特徴です。一見奇抜なアイデアも、彼の卓越した演出力によって、観客の共感を呼ぶ作品へと変貌を遂げます。広告業界での経験が培った、優れたビジュアルセンスとストーリーテリングの才能は、彼の映画作品に独特の魅力を与えています。オーストラリアという異国の地で培われた感性と、アメリカでの経験が融合し、独自のスタイルを確立したギレスピー。彼の今後の作品にも期待が高まります。

フィルモグラフィー (一部)

長編映画：『Mr.ウッドコック -史上最悪の体育教師-』、『ラースと、その彼女』、『クルエラ』など
テレビドラマ：『パム&トミー』(エピソード監督) など

彼の今後の活躍に注目しましょう。

もう一度検索