クレイグ・ホッジス

クレイグ・アンソニー・ホッジスは、1960年6月27日生まれ、アメリカ合衆国イリノイ州パークフォレスト出身の元プロバスケットボール選手、指導者です。身長188cm、体重86kg、ポジションはシューティングガードでした。

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校出身のホッジスは、1982年のNBAドラフトで全体48位でサンディエゴ・クリッパーズから指名されNBA入りを果たしました。1984年にミルウォーキー・バックスに移籍してからは、優れたシューターとして頭角を現し、1986年と1988年の2度にわたりスリーポイント成功率リーグ1位を記録しました。さらに、1991年と1992年には、マイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズの一員としてNBA2連覇を経験しました。

1992年にブルズを解雇された後は、ヨーロッパのプロリーグやCBAでプレーし、1998年に現役を引退しました。NBAでの通算成績は、695試合に出場し、5,940得点（平均8.5得点）、スリーポイント成功率.400という記録を残しています。

ホッジスは、NBAスリーポイントコンテストに第1回から8年連続で出場し、1990年から1992年にかけて前人未到の3連覇を達成しました。大会史上3連覇を達成したのはラリー・バードとホッジスのみです。また、1991年大会では19本連続シュート成功という大会記録を樹立しました。最後の出場となった1993年大会では、当時フリーエージェントでどのチームにも所属していなかったため、"NBA"と印字されたジャージを着用して参加しました（結果は準決勝敗退）。

引退後、ホッジスは1994年にシカゴ州立大学のヘッドコーチに就任しましたが、約2シーズンで8勝51敗（勝率.136）という不本意な戦績に終わり、解任されました。その後はカナダのプロリーグやDリーグで指揮を執り、現在は母校であるイリノイ州のリッチ・イースト高校でヘッドコーチを務めています。

人物・エピソード

ホッジスは、コート外での行動や発言でも注目を集めました。

1992年にシカゴ・ブルズが優勝し、ホワイトハウスを表敬訪問した際、ホッジスはダシキを着用して参加し、当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領に直筆の手紙を渡しました。手紙の内容は、ブッシュ政権の貧困層やマイノリティに対する扱いを批判するものでした。

また、ブルズ時代のチームメイトであるマイケル・ジョーダンに対し、その名声を利用して政治的・社会的問題に関する発言を行わないことを批判しました。

1996年には、NBA及びリーグに所属する全29チーム（当時）に対して4,000万ドルの賠償を求める訴訟を起こしました。その理由は、「アフリカ系アメリカ人のプロスポーツ選手は、その富や影響力を利用して、貧困層や権利を奪われた人々を支援することを怠っている」と批判したためリーグから干されたというものでした。実際、ブルズから解雇されたときはまだ32歳と充分プレーできる年齢であったにもかかわらず、NBAのどのチームからも契約オファーやトライアウトの要請が来ませんでした。ブルズの関係者は、ホッジスの解雇は年齢による衰えでディフェンスに難が生じたためと証言しましたが、ブルズのヘッドコーチであったフィル・ジャクソンは彼のシュート能力を高く評価した上で、解雇後1度も電話がなかったのは不思議だと語っています。

2014年には、デニス・ロッドマンが北朝鮮との「バスケットボール外交」の一環として結成したエキシビションチームに指名され、金正恩第1書記の誕生日を祝う親善試合でプレーするという仕事を引き受けました。しかし、彼が搭乗したカナダから北京へのフライトが大幅に遅れたため平壌への乗り継ぎ便に間に合わず、中国政府によってただちに帰国させられました。

ホッジスは、バスケットボール選手としての才能だけでなく、社会に対する強いメッセージを発信し続けた人物として記憶されています。

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