クレメンス14世 (ローマ教皇)

クレメンス14世（1705年10月31日 - 1774年9月22日）は、ローマ教皇として1769年から1774年まで在位しました。本名をジョヴァンニ・ヴィンチェンツォ・アントニオ・ガンガネッリといい、カトリック教会の司祭であり、コンベンツアル派フランシスコ会員でした。彼の教皇としての最大の業績は、ヨーロッパ諸国の圧力に屈し、イエズス会の解散を命じたことです。

生涯

イタリアのリミニで生まれたガンガネッリは、説教師として高い評判を得ていました。教皇ベネディクトゥス14世の知遇を得て、クレメンス13世によって枢機卿に任命されました。1769年に教皇に選出されると、彼は反イエズス会感情の強いヨーロッパの王室から、イエズス会に対して厳しい措置を講じるよう圧力をかけられました。この時代、ヨーロッパでは反イエズス会的な雰囲気が広がっており、クレメンス14世は「イエズス会禁止の張本人」というレッテルを貼られることが多くなりました。

しかし、クレメンス14世は決して喜んでイエズス会を解散させたわけではありません。彼は、教会の権威と世俗国家の権威との対立が深刻化し、一触即発の状態にある中で、慎重な姿勢を貫いていました。しかし、教会とヨーロッパ諸国との関係修復を優先し、これ以上関係を悪化させないために、イエズス会を犠牲とすることを決断しました。1773年7月21日、小勅書「ドミヌス・アク・レデンプトール」を公布し、イエズス会は解散となりました。

イエズス会の解散は教会にとって大きな痛手であり、この勅書がクレメンス14世の評価に大きな影を落とすことになりました。彼は世俗国家の要求に屈したとして、教皇権の至上を唱えるウルトラモンタニスム主義者から厳しく批判されることになりました。

一方で、クレメンス14世は、1771年にバチカン美術館の一般公開を開始した教皇としても知られています。古代彫刻の名品が並ぶベルヴェデーレの中庭を含む一帯は、ピオ・クレメンティーノ美術館として知られていますが、「ピオ」は教皇ピウス6世、「クレメンティーノ」はクレメンス14世を記念して名付けられました。

まとめ

クレメンス14世は、イエズス会解散という大きな決断を下した教皇として歴史に名を残しました。その決断は、当時のヨーロッパの政治情勢と教会の状況を背景にしたものであり、彼の功績と批判の両面から、後世に語り継がれています。

外部リンク

クレメンス14世 - コトバンク

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