クレメンス7世 (ローマ教皇)

クレメンス7世について

クレメンス7世（Clemens VII、1478年5月26日 - 1534年9月25日）は、1523年から1534年まで教皇の座にあった人物です。本名はジュリオ・デ・メディチ（Giulio de' Medici）で、メディチ家の一員として生まれました。彼の人生は多くの波乱に満ちており、数多くの歴史的事件と重なっています。

さて、彼は教皇レオ10世の下で枢機卿として活動しており、その能力を発揮しました。しかし、教皇に即位して以降、彼は急激に変わりゆく国際情勢に翻弄され、結果としてローマ略奪の惨事を迎えました。更には、宗教改革の大きな波の中で、彼は有効な対応を講じることができず、メディチ家の利益保護に専念することになってしまいました。

教育や文化の支援にも取り組んでおり、彼の枢機卿時代にはラファエロを支援して活動を促しました。また、政敵であるマキャヴェッリには『フィレンツェ史』の執筆を依頼するなど、関心を持っていました。さらに、天文学者コペルニクスの研究をも助け、彼の晩年にはフィレンツェからミケランジェロを呼び寄せ、システィーナ礼拝堂の壁画作成を依頼しました。しかし、実際に完成した「最後の審判」はクレメンス7世の死後に行われることとなりました。

彼の在位中は、フランスとハプスブルク家との間で続くイタリア戦争や、マルティン・ルターに代表される宗教改革運動が展開され、イタリアは非常に不安定な状況にありました。特に1527年には、神聖ローマ皇帝カール5世の軍が教皇領であるローマに侵攻し、クレメンス7世自身はサンタンジェロ城に避難しました。その結果、ローマでは恐怖と混乱が蔓延し、多くの市民が命を失ったり、家を失ったりする惨劇が繰り広げられました。

このような状況の中、クレメンス7世はカール5世との和解を果たし、ボローニャでの皇帝戴冠式を執り行いました。これは通常ローマで行われる儀式ですが、ローマが未だに復旧していないため、仕方のない決定だったのです。イタリアではフランスとハプスブルク家の衝突が続くが、カール5世の優位がほぼ確定していくという状況にありました。

この間、メディチ家の一員であるアレッサンドロは教皇の後見のもとフィレンツェを統治していました。教皇の密接な支援の下、アレッサンドロは政治的な立場を確立し、1527年には一時的に追放されるものの、カール5世の支援を得て1530年に復帰しました。1532年にはフィレンツェ公に叙任され、メディチ家はフィレンツェの実質的な支配者となりました。

晩年の1533年には、遠縁のカテリーナ・デ・メディチとフランス王子アンリとの結婚式にも出席しましたが、イングランド王ヘンリー8世との関係は悪化しました。彼は1534年9月25日に死去し、その死因として猛毒キノコであるタマゴテングタケを誤食したことが挙げられています。クレメンス7世は「悲劇の教皇」として、荒波の中で生きた一人の指導者として記憶に残っています。

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