『クレージーの怪盗ジバコ』
1967年に公開された『クレージーの怪盗ジバコ』は、国内外で人気を博したクレージーキャッツによる映画です。この作品は、北杜夫の小説『怪盗ジバコ』を基に製作されており、クレージーキャッツのメンバー全員が怪盗ジバコという一人のキャラクターを演じるユニークな形式で展開されます。本作の上映時間110分は、同じくクレージーキャッツの作品と比べても特に長く、鑑賞者を楽しませる内容となっています。
主なストーリー内容
物語は、名も知らぬ怪盗ジバコが「日本のホコリを頂戴する」という挑戦状を
警視総監に送りつけるところから始まります。警視庁は緊張感に包まれ、特捜班を設けてこの怪盗を捕まえようと奮闘します。特捜班のリーダーである明智警部と鈴木刑事は、彼の正体を解明しようとしますが、ジバコの巧妙な変装技術に翻弄されます。
彼が変装することで、鈴木は何度もジバコの罠にはまり、誤認逮捕を繰り返すことになりますが、そんな中でも彼らは任務に邁進します。ジバコは一方で、街に住む子供たちから「スモッグがひどくて遊べない」と聞きつけ、スモッグを「盗む」と果敢な行動を起こすなど、常に一歩先を行っています。
さらに物語が進む中で、東西観光のコンパニオンである姫野ナナと出会い、彼女がジバコの恋人として名を挙げ、世間の注目を集めます。鈴木は再度ジバコに化けられてしまい、彼の捜査から外されることになりますが、彼は職を失うという逆境に立たされます。それでもなお、彼はジバコを捕まえることを誓い、彼の居所を突き止めようとします。
物語のクライマックスには、警視庁に「義経の刀を頂戴する」というジバコの予告状が届き、明智警部が美術館に警戒網を敷く様子が描かれます。さらにジバコは、観光調査団の名のもとに結成された窃盗団の計画を知り、鈴木と手を組んで彼らの野望を阻止しようと奮闘します。ここでジバコは、自身の変装技術を駆使し、鈴木と共に窃盗団を撃退する活躍を見せます。
スタッフとキャスト
本作は、渡辺晋と五明忠人が製作を担当し、坪島孝が監督を務めています。また、脚本は
田波靖男と市川喜一によって執筆され、音楽は宮川泰が担当しました。キャストには、
植木等が怪盗ジバコ役を演じ、
谷啓が鈴木次郎、ハナ肇が明智少伍郎など、クレージーキャッツのメンバーが勢ぞろいしています。
音楽と印象
映画の中では、独特の挿入歌も魅力の一つとなっています。「ジバコの唄」など、キャラクターの個性を引き立てる楽曲が多く、映画全体を通して観客を楽しませる要素が豊富です。コメディ要素とサスペンスが絶妙に組み合わさった斬新な内容で、日本映画の中でも異彩を放つ作品となっています。
『クレージーの怪盗ジバコ』は、ユーモアや変装術、さらには軽快な音楽が一体となったエンターテイメント作品として、今なお多くのファンに愛され続けています。