クロアシアホウドリ

クロアシアホウドリについての詳細

クロアシアホウドリ（学名：Diomedea nigripes）は、アホウドリ科に属する鳥の一種で、主に北太平洋地域に生息しています。この鳥は、特徴的な黒い足と大きな翼を持ち、夏季には主にベーリング海、アラスカ湾、アリューシャン列島周辺に生息し、冬季にはハワイ諸島やマーシャル諸島で繁殖を行います。日本国内では、聟島列島、鳥島、尖閣諸島北小島で繁殖が確認されています。

例えば、2013年4月には、無人島の八丈小島において約30羽の繁殖を確認され、この場所が南方の小笠原諸島や鳥島からの移動によるものであることが分かっています。特に2017年には、その繁殖活動が注目され、8ペアが卵を産み、3羽が孵化し、2羽のヒナが無事に巣立つ様子が観察され、世界最北の繁殖地としても知られるようになりました。

形態の特徴

クロアシアホウドリは全長68～74センチメートル、翼を広げると193～213センチメートルにも達します。その体重は2.2～4.1キログラムと、比較的重量のある体格をしています。本種の羽毛は黒褐色で全身を覆い、嘴の基部や目の下は白い羽毛で飾られています。また、白い尾羽基部を持つ個体も存在し、初列風切の羽軸は白色です。

嘴は暗灰色で、脚は黒色をしています。このため、種名「nigripes」は「黒い足」を意味し、日本名や英名の「black-footed」とも一致しています。幼鳥は額に白い羽毛があり、嘴は淡褐色をしています。

生態と繁殖行動

クロアシアホウドリは主に海洋で生活しており、動物性の食物を好み、魚類や甲殻類、軟体動物などを捕食します。繁殖に関しては、集団繁殖を行い、コロニーを形成します。通常、1回の繁殖で1個の卵を産み、雌雄が交代で抱卵を行います。孵化した雛は日中は巣から少し離れて日陰で過ごす習性があります。

このように、クロアシアホウドリは北太平洋の特定の地域での繁殖や独自の生態を持つ興味深い鳥です。その生態や繁殖様式は、彼らの生存戦略を語る上で非常に重要な要素となっています。

参考文献

• - 安部直哉 『山渓名前図鑑 野鳥の名前』、山と渓谷社、2008年
• - 桐原政志 『日本の鳥550 水辺の鳥』、文一総合出版、2000年
• - 黒田長久監修 『動物大百科7 鳥類I』、平凡社、1986年
• - 高野伸二 『フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版』、日本野鳥の会、2007年
• - 中村登流監修 『原色ワイド図鑑4 鳥』、学習研究社、1984年
• - 真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年

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