クロアチアとセルビアの関係

クロアチアとセルビアの関係

クロアチアとセルビアは、バルカン半島に位置する隣国同士であり、歴史的に複雑な関係を築いてきました。両国は、1918年から1991年までユーゴスラビアの一部でしたが、クロアチア独立戦争を経て、1996年9月に外交関係を樹立しました。

地理と人口

両国は241kmの国境線を共有しており、クロアチアには約18万6千人のセルビア系住民、セルビアには約5万8千人のクロアチア系住民が居住しています。国境付近には、シャレングラード島やヴコヴァル島をめぐる領土問題が残っており、両国関係の緊張要因となっています。

外交関係

クロアチアはベオグラードに大使館、スボティツァに総領事館を設置しています。一方、セルビアはザグレブに大使館、リエカとヴコヴァルに総領事館を設置しており、外交関係を維持しています。

歴史

第二次世界大戦

1941年、ユーゴスラビア王国はドイツとイタリアに占領され、クロアチア地域はナチス・ドイツの傀儡政権であるウスタシャが支配しました。ウスタシャは、セルビア人、ユダヤ人、ロマ人などに対する民族浄化政策を強行し、ヤセノヴァツ強制収容所では多数の犠牲者が出ました。その後、ヨシップ・ブロズ・チトー率いるパルチザンが勝利し、両国はユーゴスラビア社会主義連邦共和国の一部となりました。

独立戦争

1991年から1995年にかけて、クロアチア独立戦争が勃発しました。クロアチア国内のセルビア系住民が樹立したクライナ・セルビア人共和国は、ユーゴスラビア連邦軍の支援を受けましたが、クロアチア軍によって制圧されました。この戦争は、両国間の不信感を深める要因となりました。

近年の対立

コソボ問題

2008年、クロアチアはセルビアが領土と主張するコソボを独立国として承認しました。この決定は、セルビアとの関係に新たな緊張をもたらしました。

ロシアへの対応

2024年2月、クロアチアのカーニバルでロシアのプーチン大統領とセルビアのブチッチ大統領の人形が燃やされたことがきっかけで、両国間で外交問題が発生しました。クロアチア外相がセルビアを「ロシアの衛星」と非難し、ブチッチ大統領はクロアチアを「嘘つき」だと批判するなど、両国間の対立が顕在化しました。

外交使節

過去には、以下の人物が駐セルビア・クロアチア大使、駐クロアチア・セルビア大使を務めています。

駐セルビア・クロアチア大使
ダヴォル・ボジノヴィッチ (2002～2004年)
トンチ・スタニチッチ (2004～2008年)
ジェリコ・クプレシャク (2008～2013年)
ゴルダン・マルコティッチ (2013～2017年)
ゴルダン・バコタ (2017年～)

駐クロアチア・セルビア大使
ミラン・スィムルディッチ (2001～2005年)
ラディヴォイ・ツヴィエティチャニン (2005～2009年)
スタニミル・ヴキチェヴィッチ (2009年～)
（臨時代理大使）ボサ・プロダノヴィッチ
ミラ・ニコリッチ (2015年～)

関連項目

クロアチアの国際関係
セルビアの国際関係

外部リンク

駐セルビア共和国クロアチア共和国大使館
在スボティツァ・クロアチア共和国総領事館
駐クロアチア共和国セルビア共和国大使館
在リエカ・セルビア共和国総領事館
* 在ヴコヴァル・セルビア共和国総領事館

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