クロケット

クロケットとは

クロケット（croquette）は、フランス語で「カリカリと音を立てて噛む」という意味の「croquer」に由来する、小さな丸い揚げ物料理です。主な材料は、マッシュポテトや挽き肉（牛肉、鶏肉など）、魚介類、野菜などで、パン粉をまぶして揚げることが一般的です。円筒形や円盤型など、形は様々です。

日本のコロッケの原型になった料理としても知られていますが、フランスでは多量の油で揚げるよりもオーブンで調理されることが多いのが特徴です。世界中で親しまれており、各国の食文化に合わせて多様なバリエーションが存在します。

歴史

クロケットの初出に関する文献は、フランスでは1740年とされていますが、イギリスでは1706年の文献に登場しており、起源には謎が残ります。

各国のクロケット

クロケットは、世界中で様々な形で親しまれています。以下に、代表的な例をいくつか紹介します。

アメリカ合衆国

東海岸: フィッシュケーキやクラブケーキなど、魚や蟹のすり身を混ぜて揚げたものがクロケットとして食べられています。
フロリダ州タンパ: 調味した蟹肉をキューバパンのパン粉で包んで揚げた「デヴィルド・クラブ」が有名です。
ニューイングランド: 伝統的に、メープルシロップ漬けのハムの残り物をジャガイモで巻いてソテーしたものが食べられています。
アメリカ南部: サーモンパティ（サーモンクロケット）が一般的で、クラッカーを衣にすることが特徴です。

イギリス

冷凍または冷蔵のジャガイモのクロケットがスーパーマーケットで広く販売されています。

インド

ジャガイモを揚げた「アール・ティッキ」が人気で、シチューと一緒に食べられます。西ベンガル州では「アル・チョップ」と呼ばれ、ファストフードとしても販売されています。

インドネシア

オランダ植民地時代に伝わった「クロケット」は、ジャガイモと鶏挽き肉で作られる一般的な軽食です。

オランダ

以前は肉や野菜を使ったごちそうでしたが、現在はシチュー肉の残り物を揚げたファストフードとして定着しています。マクドナルドでも販売されるほど一般的で、ゆで卵やエビなどの具材も人気です。小さなクロケットの「ビッテルバル」は、おつまみとして提供されます。

キューバ/プエルトリコ/ペルー

ハム、牛肉、鶏肉、魚などを具材にした「クロケータ」が食べられています。ジャガイモではなく穀粉を使うのが特徴で、ジャガイモを使う場合は「パパ・レジェーナ」と呼ばれます。

スペイン

ハモンや鶏肉を具材にした「クロケータ」は、タパスの定番です。ベシャメルソースを使わないものもあります。

チェコ

ジャガイモ、鶏卵、穀粉を材料にした揚げ物「クロケタ」が、レストランの付け合わせや冷凍食品として広く利用されています。

ドイツ

「クロケッテ」は、レストランの付け合わせやファストフード店でスナックとして食べられ、冷凍食品としても販売されています。

日本

「コロッケ」は、ジャガイモと少量の肉、野菜を混ぜて揚げたものが一般的です。魚介類や鶏肉のホワイトソースを具材にした「クリームコロッケ」も人気です。挽き肉のものは「メンチカツ」、エビのものは「エビカツ」と呼ばれ区別されます。

ハンガリー

チェコのクロケタに似た「クロケット」は、ジャガイモ、鶏卵、穀粉などを材料にした揚げ物で、レストランの付け合わせや冷凍食品として販売されています。

バングラデシュ

ジャガイモをベースにした「アル・チョプ」は、アペタイザーや軽食として人気があります。ひき肉や豆を具材にし、チャツネやソースをつけて食べられます。

ブラジル

牛肉をベースにした「クロケーテ」が、ドイツ料理の一部として親しまれています。

ポーランド

薄いパンケーキでキノコや肉を包んで揚げた「クロキエット」が、ボルシチなどのスープと共に提供されます。

ポルトガル

牛肉とホワイトソースで作られた円筒形の「クロケーテ」が一般的ですが、魚介類や野菜を使ったものも食べられています。

メキシコ

ツナや鶏肉、ジャガイモを使った「クロケータ」が一般的です。

ロシア

ひき肉を揚げた「カトリェータ」や、鶏むね肉でバターを包んで揚げた「キエフ風カトリェータ」がよく食べられます。

まとめ

クロケットは、そのシンプルな調理法と多様な具材の組み合わせによって、世界中で愛される料理となりました。各国の食文化に合わせて、様々なバリエーションが存在し、その土地ならではの味わいを楽しむことができます。

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