クロサギ (鳥)

クロサギ（黒鷺）

クロサギ（学名：Egretta sacra）は、ペリカン目サギ科に属する中型の鳥で、主に東アジアからオーストラリア、ニュージーランドにかけて広く分布しています。特に、日本ではその生息状況が地域によって異なります。太平洋側では房総半島以西で繁殖し、日本海側では男鹿半島以南の限られた地域に生息しています。この種の個体数は決して多くはなく、特に繁殖地ではやや局地的に見られます。

分布と生息環境

日本では、本州の中部以南では留鳥として周年生息し、北部地域では夏鳥として繁殖します。主に海辺の岩場や珊瑚礁に生息し、干潟や河口でも見つかることがあります。クロサギはコロニーを作らず、単独またはペアで生活する昼行性の鳥です。飛行中は海上を低く飛びながら獲物を探します。

外見の特徴

全長約63cmのクロサギは、黒色型と白色型の2つの色彩に分類され、特に九州以北では黒色型が多く分布し、南西諸島では白色型が増えます。黒色型は全身がすすけた黒色で、白色型は純白の羽毛に覆われています。また、黒と白の両方の羽を持つ中間型も見られます。雌雄同色であり、この種の特徴的な短い冠羽は、雄の方がより発達しています。さらに、繁殖期には白色型の冠羽が黒色型に比べて長くなる傾向があります。

クロサギの嘴は太く長く、色は各個体で変化があり、淡いオリーブ色や褐色、黄褐色などがあります。足は比較的短く、多くは黄緑色または緑褐色です。また、虹彩は黄色で、眼先は黄緑色という特徴的な外見をしています。

食性と繁殖

クロサギは肉食性で、食事には魚類、甲殻類、貝類が含まれます。繁殖の際は、海辺の樹木や岩の上に巣を作り、1度の繁殖で2 - 5個の卵を産みます。抱卵期間は約25 - 28日で、雌雄共に卵を抱き、育雛にも協力します。雛は孵化後約35 - 40日で巣立つ準備が整います。

亜種と保全状況

クロサギは主に2つの亜種に分類されています。1つはEgretta sacra sacraであり、もう1つがEgretta sacra albolineataで、後者はニューカレドニアやロアイヨーテ諸島に生息しています。現在のクロサギはIUCNのレッドリストで「危険度最小」と評価され、全体的には比較的安定した個体数を維持していますが、人間活動、特に海岸での釣り人の増加がその繁殖や個体数に影響を与える可能性があるとされています。

まとめ

クロサギは、その独特な形態と生態から日本の自然環境に適応しながら生息している鳥です。地域による生息環境の違いや繁殖の仕方など、興味深い特徴を持っています。これからも、その生態が注目され、保護が求められることでしょう。

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