クロスプラットフォーム

クロスプラットフォーム：様々な環境で動作するソフトウェア

クロスプラットフォームとは、Windows、macOS、Linuxなど、異なるプラットフォーム上で動作するソフトウェアを指します。同じプログラムを様々なOSやハードウェアで利用できるため、開発者やユーザーにとって利便性が高い技術です。マルチプラットフォームとほぼ同義で用いられることもありますが、家庭用ゲーム機においては異なる意味を持つ場合があります。

クロスプラットフォームソフトウェアの例

多くのソフトウェアがクロスプラットフォーム対応を目指しています。代表的な例として、Emacs、Smalltalk環境、Javaアプリケーションなどが挙げられます。特にJavaは、プラットフォームに依存しないバイトコードを使用するため、Windows、macOS、Linuxなど、様々なOSで同一のアプリケーションを実行できます。

Mozilla Foundationが開発するソフトウェアも、クロスプラットフォーム性を重視しています。Firefoxブラウザとその拡張機能は、様々なOSで利用可能であり、FireFTPのように、OSに依存しない機能拡張を提供しています。Operaブラウザも、軽量なプログラムコードにより、デスクトップ環境だけでなく、携帯電話や家庭用ゲーム機にも移植されています。さらに、ウェブブラウザ自体がクロスプラットフォーム環境であり、ダイナミックHTMLを活用したリッチインターネットアプリケーションは、様々なOSで利用されています。

家庭用ゲーム機におけるクロスプラットフォーム

家庭用ゲーム機においては、「クロスプラットフォーム」は、異なるハードウェア間での連携機能を指します。具体的には、クロスプレイ（異なる機種間のオンライン対戦）、クロスセーブ（異なる機種間のセーブデータ共有）、リモートプレイ（遠隔地からのゲーム操作）などが挙げられます。これにより、プレイヤーは異なる機種間でゲームをプレイしたり、セーブデータを共有したりすることが可能になります。

一方、家庭用ゲーム機における「マルチプラットフォーム」は、一つのゲームソフトを複数のハードウェア向けに別々に開発することを指します。これは汎用コンピューターにおける意味とは異なり、欧米では主流な開発手法です。日本においては、1990年代後半から2000年代にかけて、PlayStationとセガサターンが競合していた時代には、特に恋愛シミュレーションゲームなどで盛んに行われていました。しかし、近年では、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーシリーズなどの大作RPGもマルチプラットフォーム化が進んでいます。

マルチプラットフォーム開発の歴史

日本の家庭用ゲーム機市場では、1990年代までは、任天堂ハードが中心であり、マルチプラットフォーム開発は少数派でした。しかし、PlayStationとセガサターンの登場以降、性能差が小さくなったことで、マルチプラットフォーム開発が盛んになりました。特に、中小規模のゲームメーカーや、ゲーム事業を本業としないメーカーの作品で多く見られました。しかし、主力タイトルを独占販売することでハードの売上を伸ばす戦略もあり、各メーカーは様々な戦略を展開していました。

2000年代に入ると、ニンテンドーゲームキューブとPlayStation 2の時代には、当初は特定機種独占で発売されたタイトルが、その後他の機種にも移植される事例が増えました。2000年代後半からは、PlayStation 3とXbox 360、そしてPC（Steam）へのマルチプラットフォーム展開が一般的になり、現在では、多くのタイトルが複数のプラットフォームでリリースされています。

クロスプラットフォーム開発のメリットとデメリット

クロスプラットフォーム開発のメリットは、開発コストと時間の削減、より多くのユーザーへのリーチです。しかし、異なるハードウェアの仕様の違いに対応する必要があり、ハードウェア性能が大きく異なる場合は、ゲームデザイン自体の変更が必要となる場合があります。そのため、同じタイトルでも、プラットフォームによってゲーム性が異なる場合があります。

まとめ

クロスプラットフォームは、ソフトウェア開発において重要な概念です。様々なプラットフォームへの対応により、ユーザーへの利便性向上と市場拡大が期待できますが、同時に、開発における複雑性も増加します。家庭用ゲーム機においては、クロスプレイやクロスセーブなどの機能がユーザー体験を豊かにしていますが、マルチプラットフォーム開発の歴史的背景も理解することが重要です。

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