クロバザム

クロバザム：抗てんかん薬としての効果とリスク

クロバザムは、ベンゾジアゼピン系に属する抗てんかん薬です。脳の神経活動を抑制することで、てんかん発作の発生を抑制する効果があります。大発作や小発作など、様々なタイプのてんかん発作に対して効果を示すことが知られていますが、通常は第一選択薬ではなく、他の抗てんかん薬で十分な効果が得られない場合の追加療法として用いられます。日本では「マイスタン」の商品名で販売されています。

効能・効果

クロバザムは、他の抗てんかん薬で効果不十分な場合に、以下の発作の種類に対して併用療法として用いられます。

部分発作: 単純部分発作、複雑部分発作、二次性全般化強直間代発作
全般発作: 強直間代発作、強直発作、非定型欠神発作、ミオクロニー発作、脱力発作

副作用

クロバザムは、強力な薬理作用を持つ一方で、睡眠薬に近い作用機序を持つため、様々な副作用が生じる可能性があります。主な副作用には、以下のものがあります。

中枢神経系: 眠気、ふらつき、めまい、意識混濁、意欲低下、倦怠感
呼吸器系: 痰の増加、呼吸困難
消化器系: 多唾液、食欲不振、吐き気
眼: 複視、視力ぼやけ
* 皮膚: 発疹、かゆみ

さらに、長期にわたって服用を続けると薬効が低下する可能性や、まれに呼吸抑制といった重篤な副作用も起こる可能性があります。特に重要なのは、依存性と離脱症状です。クロバザムを長期にわたって服用すると依存症のリスクが高まり、服用を急に中止すると離脱症状（禁断症状）が現れる可能性があります。そのため、服用期間や用量は医師の指示を厳守し、減量する場合も徐々に減らす必要があります。

日本の厚生労働省は2017年3月、クロバザムの重大な副作用として依存性と離脱症状について注意喚起を行い、関係機関に周知徹底を図りました。医薬品医療機器総合機構からも、漫然とした長期使用の回避、適切な用量遵守、類似薬との重複投与の確認、減量時の慎重な対応などが呼びかけられています。これらの注意喚起は、日本の診療ガイドラインや学術誌の調査結果に基づいています。

注意点

クロバザムは、睡眠薬であるゾルピデム（マイスリー）と外見が類似しているため、処方や調剤の際に取り違えが発生する事故が報告されています。医療機関では、薬剤の確認を徹底し、処方オーダーシステムなどで薬効名やアラートを表示するなどの対策が講じられています。

まとめ

クロバザムは効果的な抗てんかん薬ですが、依存性や離脱症状など、重大な副作用のリスクも伴います。医師の指示を厳守し、安全に使用することが極めて重要です。自己判断で服用を中止したり、用量を変更したりすることは決して避けてください。何か異変を感じた場合は、すぐに医師または薬剤師に相談しましょう。

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