クロバネキノコバエ

クロバネキノコバエとは

クロバネキノコバエは、双翅目クロバネキノコバエ科（Sciaridae）に属する昆虫の総称です。別名クロキノコバエとも呼ばれ、農業害虫や衛生害虫として知られています。

分類

クロバネキノコバエ科は、世界で約2400種が記録されていますが、未記載種を含めると5000-10000種に及ぶと考えられています。既知の種は旧北区に約900種、新北区に約150種ほどが生息していますが、未発見の種も多く存在すると推測されています。

クロバネキノコバエ科の分類は、双翅目の中でも特に難しいとされており、分類体系は混乱しています。ケバエ下目に属し、タマバエ科やキノコバエ科と近縁ですが、高次分類や属の定義も不十分で、下位分類の研究もほとんど進んでいません。

生態

成虫の体長は1-6mm程度の種が多いですが、中には10mmに達する種もいます。翅は透明、褐色、または黒色で、斑点や暗色の帯を持つこともあります。幼虫は湿った土中の有機物を餌として成長します。

卵は産卵後4-7日で孵化し、幼虫は朽木や樹皮の中で生活し、8-20日で4齢幼虫になります。蛹の期間は3-5日程度で、その後羽化します。

幼虫が集団で移動する習性があり、その様子が軍隊の行進に似ていることから「armyworm」と呼ばれることもあります。日本では、北海道、秋田県、宮城県、群馬県、神奈川県、兵庫県でこの集団行進が確認されています。

クロバネキノコバエの生態には不明な点も多いですが、森林内での有機物分解や花粉媒介に関与していると考えられています。

人間との関係

クロバネキノコバエは、針などを持たず、人体に直接的な危害を加えることはありません。しかし、住居周辺で大量発生し、家屋内を汚染することがあります。

多くの種は植物や菌類を餌とするため、農作物に被害を及ぼす害虫として扱われます。主な害虫種としては、以下のものが挙げられます。

チバクロバネキノコバエ Bradysia impatiens：シイタケ、マッシュルーム、テッポウユリ、ラッパスイセンなどに被害をもたらします。
ツクリタケクロバネキノコバエ Lycoriella mali：ツクリタケを食害します。
ショウガクロバネキノコバエ Phytosciara zingiberis：ショウガに被害を与えます。
ジャガイモクロバネキノコバエ Pnyxia scabiei：テンサイを食害します。
ヒトトゲクロバネキノコバエ Psilosciara flammulinae：ショウガ、エノキ、マッシュルーム、テンサイなどに被害を与えます。

また、クロバネキノコバエはフハイカビの媒介者としても知られており、ヨーロッパでは薬剤による防除が行われています。

関連項目

キノコバエ

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