クロムウェル男爵

クロムウェル男爵位の歴史

イングランド貴族の爵位、クロムウェル男爵位は、その歴史において実に4度にわたって創設されています。現在まで存続しているのは、1375年に創設された第2期クロムウェル男爵位です。複雑な歴史を持つこの爵位について、詳しく見ていきましょう。

第1期クロムウェル男爵位

1308年、ジョン・ド・クロムウェルが議会召集令状により初代クロムウェル男爵に叙せられました。彼は様々な役職を歴任した人物でしたが、子供がいなかったため、この爵位は彼一代で途絶えました。

第2期クロムウェル男爵位

現存するクロムウェル男爵位は、初代男爵の弟の曾孫にあたるラルフ・ド・クロムウェルが、1375年に議会召集令状により叙せられたことによります。彼の死後、爵位は息子のラルフ、さらにその息子のラルフへと受け継がれました。しかし3代目のラルフの死後、男系男子が途絶え、爵位は相続人のいない状態（停止、abeyant）となりました。

停止状態にあった爵位は、初代男爵の娘の系統を辿り、1923年になってようやく停止が解除されました。ロバート・ゴドフリー・ウォルスリー・ベウィッケ＝コプリーが5代男爵を継承し、現在に至るまで彼の直系の子孫によって継承されています。2018年時点での当主は、7代男爵ゴドフリー・ジョン・ベウィッケ＝コプリーです。

第3期クロムウェル男爵位

ヘンリー8世の寵臣として知られたトマス・クロムウェルは、1536年にウィンブルドンのクロムウェル男爵に叙せられました。彼は宗教改革や行政改革の中心的役割を果たしましたが、アン・オブ・クレーヴズとの結婚を取りまとめたにも関わらず、ヘンリー8世の不興を買い、大逆罪で処刑されました。その結果、爵位は剥奪されました。

興味深いことに、イングランド共和国護国卿として名高いオリバー・クロムウェルは、トマス・クロムウェルの親族にあたります。トマス・クロムウェルの影響力により、彼の家系は宗教改革における教会領没収の恩恵を受け、ジェントリへと成長しました。

第4期クロムウェル男爵位

トマス・クロムウェルの長男グレゴリーは、父が処刑された直後の1540年にオーカムのクロムウェル男爵に叙せられました。しかし、この爵位もその後、アードグラス伯爵位と共に途絶えています。

歴代当主

各期のクロムウェル男爵の歴代当主については、本文中に記述した通りです。複雑な相続や爵位の停止、復活劇をたどった歴史がわかります。

まとめ

4度に渡る創設と廃絶、そして複雑な相続の歴史を持つクロムウェル男爵位。現在まで続く第2期クロムウェル男爵位は、イングランドの歴史における権力闘争や宗教改革といった激動の時代を反映し、その歴史に彩りを添えています。その歴史をたどることは、イングランドの歴史を深く理解するための貴重な手がかりとなるでしょう。

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