クロルプロマジン

クロルプロマジンとは

クロルプロマジン（Chlorpromazine）は、1952年にフランス海軍の外科医かつ生化学者であるアンリ・ラボリによって発見されたフェノチアジン系の抗精神病薬です。この薬は精神安定剤として知られ、メジャートランキライザーの一種として分類されています。日本では劇薬に指定されており、主に統合失調症や躁病の治療に用いられています。クロルプロマジンは、塩酸塩の形で医薬として承認されており、有名な商品名にはウインタミンやコントミンがあります。

歴史

クロルプロマジンは、もともと1950年にローヌ・プーラン社（現サノフィ・アベンティス）によって抗ヒスタミン薬として開発されましたが、当時は鎮静効果が強すぎるとの評価を受けていました。その後、1952年にラボリが麻酔とこの薬を併用した際に精神症状の変化に注目し、精神疾患治療の有用性が示唆されました。それ以降、クロルプロマジンは迅速に広まり、フランス国内で統合失調症の治療に使用されるようになりました。

薬理作用

クロルプロマジンはドパミン受容体に作用し、主にD2受容体を遮断することで効果を発揮します。ドパミンは脳において興奮や妄想を引き起こす神経伝達物質と考えられており、その作用を抑えることで精神症状の改善に寄与します。低用量（約12.5 mg）であれば乗り物酔いや悪心の予防効果が得られ、精神神経疾患の場合はアメリカでは主に1,000 mgの高用量で治療が行われています。

日本における状況

日本では、1968年に裁判でクロルプロマジンの特許に関する重要な判断が下され、吉富製薬が特許を取得し、コントミンが販売されました。一方、ノバルティスはウインタミンを輸入し、両者が競争しています。クロルプロマジンの登場は、精神科病院の治療方針に大きな影響を与え、患者の生活の質を向上させるました。

使用と適応

クロルプロマジンは以下の症状に対して使用されています:

• - 統合失調症、躁病、神経症における不安や緊張、抑うつ
• - 悪心、嘔吐、吃逆
• - 麻酔前投薬や人工冬眠
• - 鎮痛剤の効力を強化するため

主な副作用

この薬は多くの副作用があり、注意が必要です。よく見られる副作用には以下が含まれます:

• - パーキンソン症候群: 手の震えや筆記の困難、しゃっくりなど
• - 循環器系の問題: 血圧低下、頻脈、不整脈
• - 消化器系の不調: 食欲の変化、悪心、嘔吐
• - 精神神経系の影響: 錯乱、不眠、興奮
• - 錐体外路症状: ジスキネジアやジストニア

さらに、重篤な副作用として悪性症候群や遅発性ジスキネジアなどがあるため、適切な管理が必要です。

相互作用と禁忌

他の薬物との相互作用もあり、特に中枢神経抑制剤やアルコールとの併用は避けるべきです。また、妊婦や授乳中の女性にも避けられるべきです。アドレナリンとの併用も危険で、重篤な低血圧を引き起こす可能性があります。

まとめ

クロルプロマジンは精神科治療において重要な役割を果たす薬剤ですが、その使用に際しては副作用に対する理解と適切な管理が不可欠です。また、医師の指示のもとで使用し、定期的な評価と調整が求められます。

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