クロース (映画)

『クロース』：忘れかけていたクリスマスの奇跡

2019年にスペインで制作されたアニメ映画『クロース』（原題：Klaus）は、誰もが知るサンタクロースの物語に、新たな解釈を加えた感動的な作品です。北極圏に近い、寒く閉ざされた小さな町を舞台に、サンタクロース誕生の秘密が、鮮やかに、そして温かく描かれています。

物語の中心となるのは、やる気のない若き郵便配達員ジェスパーと、孤独な玩具職人クロースの出会い。ジェスパーは、厳しい上司から、配達ノルマを達成しなければ町から追放されると脅されています。一方、クロースは、人付き合いを避け、山奥でひっそりと暮らす、謎めいた人物です。

運命のいたずらから、ジェスパーはクロースと奇妙な共同作業を始めることになります。それは、クロースが作るおもちゃを、町の人々に届けるという仕事です。最初は反発し合っていた2人ですが、おもちゃを通して町の人々を笑顔にする中で、次第に友情を育んでいきます。

おもちゃの温かさ、そしてジェスパーとクロースの友情は、長年いがみ合ってきた町の人々の心を解きほぐしていきます。互いのわだかまりを解き放つことで、町全体に温かい空気が流れ始めます。クリスマスの精神、そして人々の繋がりを改めて考えさせられる、そんな心温まる物語が展開されます。

豪華な声優陣も本作の魅力の一つです。ジェスパー役にはジェイソン・シュワルツマン（吹替：内山昂輝）、クロース役にはJ・K・シモンズ（吹替：玄田哲章）と、実力派俳優が名を連ねています。その他にも、ラシダ・ジョーンズ（吹替：中村千絵）、ノーム・マクドナルド（吹替：斉藤次郎）、ジョーン・キューザック（吹替：塩田朋子）など、実力派声優陣による繊細な演技が、キャラクターたちの感情をより一層引き立てています。

『クロース』は、その高いクオリティから、数々の賞を受賞しています。2019年には第73回英国アカデミー賞アニメ映画賞を受賞、2020年には第47回アニー賞で長編作品賞、長編作品キャラクター・アニメーション賞、長編作品キャラクター・デザイン賞、長編作品監督賞、長編作品美術賞、長編作品ストーリーボーディング賞、長編作品編集賞など、主要部門を総なめにする快挙を成し遂げました。

美しい映像、心温まるストーリー、そして豪華な声優陣。これらが三位一体となって、観る者の心を掴む、まさに傑作と呼ぶにふさわしい作品です。クリスマスシーズンの鑑賞はもちろん、一年を通して楽しめる、心に残る一本となるでしょう。

【キャスト】
ジェスパー：ジェイソン・シュワルツマン（吹替：内山昂輝）
クロース：J・K・シモンズ（吹替：玄田哲章）
アルバ：ラシダ・ジョーンズ（吹替：中村千絵）
モーゲンス：ノーム・マクドナルド（吹替：斉藤次郎）
ミセス・クラム：ジョーン・キューザック（吹替：塩田朋子）
エリングボー：ウィル・サッソー
サーミ族の少女：ネダ・マルグレーテ・ラバ
セルジオ・パブロス

【受賞歴】
第73回英国アカデミー賞アニメ映画賞 (2019年)
第47回アニー賞 長編作品賞、長編作品キャラクター・アニメーション賞、長編作品キャラクター・デザイン賞、長編作品監督賞、長編作品美術賞、長編作品ストーリーボーディング賞、長編作品編集賞 (2020年)

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