クンストカメラ

クンストカメラ

クンストカメラは、ロシアのサンクトペテルブルクに位置する歴史的な博物館であり、ロシアで初めて設立された博物館とされています。1714年、ロシア帝国の皇帝ピョートル1世によって創設され、その目的は自然や人間が作り出した珍しい物品を収集し、保存することでした。その名は、ドイツ語の「Kunstkammer」（美術陳列室）に由来しています。

クンストカメラは設立当初から、様々な種類の収蔵品を集めていましたが、特に鉱石、医療用薬剤、古銭などが中心となっていました。1716年には、ピョートル1世が自身で収集した1,195種の鉱石を展示する鉱物展示室が設けられ、さらにはロシア国内の鉱石コレクションも増加しました。こうした多様なコレクションは1719年より一般に公開されるようになり、その後モスクワのフェルスマン鉱物博物館へとつながる道を開きました。

クンストカメラは、増加する収蔵品を収容するために専用の建物を必要とし、1727年にサンクトペテルブルクのワシリエフスキー島にバロック様式の素晴らしい建物が完成しました。この建物は、ネヴァ川の河畔にあり、冬宮や旧海軍省といった他の重要な建物と向き合っています。この博物館は、歴代の皇帝たちが所有していたコレクションが集まった場所としての役割も担っています。

特に注目すべきは、クンストカメラの目玉である人間や動物の胎児標本です。これらの標本は、オランダの著名な解剖学者フレデリクス・ルイシと薬理学者アルベルトゥス・セバから購入されたもので、各種の大きさや状態が混在しています。また、歴史的に最も衝撃的な所蔵品の一つには、ピョートル大帝の妻エカチェリーナ1世の愛人であったウィレム・モンスの頭部がアルコールに漬けられた標本が挙げられます。

19世紀の1830年代には、クンストカメラの収蔵品がさらに増えたため、他の地域に帝国博物館が設立され、収蔵品は分散していきました。現在、クンストカメラは「ロシア科学アカデミー・ピョートル大帝記念人類学・民族学博物館」という公式名称を持ち、約200万種類の多岐にわたる収蔵品を誇っています。この博物館は1903年以降、「ピョートル大帝クンストカメラ」としても知られるようになりました。

さらに、日本との関わりも深く、文化露寇に関連する略奪品が展示されていることでも知られています。クンストカメラは、ロシアの歴史や文化、さらには科学の発展を学ぶための貴重な場所であり、訪れる人々に多くの知識や驚きを提供し続けています。

この博物館は、サンクトペテルブルクを訪れる際にはぜひ足を運ぶべき重要な施設であり、ロシアの歴史や文化の奥深さを体感できる貴重な場所です。

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