クンフー・マスター 洪熙官

クンフー・マスター 洪熙官：復讐と義侠心に燃える武術ドラマ

1994年、香港の亜洲電視で放送されたテレビドラマ『クンフー・マスター 洪熙官』（原題：洪熙官、英題：The Kung Fu Master）は、数々のカンフー映画で活躍するドニー・イェンを主演に迎え、大きな話題を呼びました。全30話からなるこのドラマは、清朝時代の中国を舞台に、少林拳法の達人、洪熙官の波乱に満ちた人生を描いています。日本では、30話全編ではなく、冒頭5話をダイジェストしたDVDが発売されており、そちらでは洪熙官の両親の復讐と少林寺での修行への決意が描かれています。

洪熙官：歴史と伝説の狭間で

ドラマの主人公、洪熙官は、清朝の乾隆年間に実在したとされる人物です。少林寺で拳法を学び、洪家拳の基礎を築いたと伝えられており、方世玉兄弟や梁亜松らとともに「少林十虎」の一人、あるいは「少林五祖」の一人として数えられています。「反清復明」を掲げた反清運動の英雄として、多くの映画やドラマで取り上げられ、様々な功夫スターが演じてきました。民間伝承的な要素も強く、その実在性については議論がありますが、2014年には墓が発見されたという報道もありました。

怒涛のアクションと人間ドラマ

DVD版では、洪熙官の両親の復讐から物語が始まります。父の仇を討つため、彼は少林寺で厳しい修行を積むことを決意します。少林寺では、盟友となる方世玉（ニック・チョン）と出会い、共に武術を磨いていきます。物語は、修行を通して成長していく洪熙官の姿、死んだと思っていた父親との再会、親友の裏切り、そして、秘密結社で出会った女性とのロマンスなど、様々な人間ドラマが展開されます。少林寺の焼き打ちという壮絶なシーンも描かれ、見どころの一つとなっています。

清朝支配下、激動の時代

ドラマは、満州族が支配する清朝時代の中国を舞台としています。洪熙官の父である洪亭南は、清朝の軍の武術師範を務めていましたが、洪熙官はそれに反発し家を出ていました。父の50歳の誕生日を祝うために帰郷した洪熙官は、そこで様々な出来事に巻き込まれていきます。

怪力男との出会い、満州人の総督の息子である碩托との対決、そして「反清復明」を掲げる秘密結社「日月会」との関わりなど、洪熙官は数々の困難に直面します。特に、狡猾な碩托によって母と父を殺されたことで、洪熙官は復讐心に燃え、反清運動に身を投じていきます。

キャストとスタッフ

本作は、ドニー・イェン演じる洪熙官を中心に、数多くの実力派俳優が脇を固めています。ニック・チョン演じる方世玉との友情や、様々な敵との対決など、見応えのあるアクションシーンが満載です。

スタッフには、張婉貞（制作）、陳宇超（プロデューサー）、阮繼志と劉小群（脚本）、ベニー・チャン（監督）、ドニー・イェン（武術顧問）、馬玉成（武術指導）といった、香港映画界を代表するベテランたちが名を連ねています。主題歌「理想」は、ドニー・イェン自身が歌っています。

結論

『クンフー・マスター 洪熙官』は、ドニー・イェンの圧巻のアクションと、歴史とフィクションが融合した魅力的なストーリー、そして人間ドラマが三位一体となった、見逃せない作品です。中国の歴史と武術の世界観に浸りたい方、ドニー・イェンのアクションを堪能したい方におすすめの一作です。

もう一度検索