クースクリド・メン

クースクリド・メン

クースクリド・メン（アイルランド語: Cúscraid Mend Macha）は、アルスター伝説に登場する戦士であり、アイルランド神話の登場人物です。「メン」という異名が示すように、彼は「どもり」または「唖者」でした。彼はアルスター王コンホヴァル・マク・ネサの王子であり、兄コルマク・コン・ロンガスに次ぐ王位後継者として認められていました。彼の綽名は「メン・マハ」、つまり「アルスター王都エヴァン・マハのどもり男」を意味します。

若き戦士の試練

アルスターでは、若者が武具を身につける年齢になると、敵国コナハトへ赴き、敵を討ち取る通過儀礼がありました。クースクリドもこの儀礼に挑みましたが、強敵ケト・マク・マーガハとの戦いで負傷し、言葉を失ってしまいます。

この経緯については複数の説があります。

人名由来集によれば、彼は武器によって舌の先端を失い、「メン（唖者/吃音者）」となったとされています。
別の物語では、初陣の際、国境近くでケトに遭遇し、仲間を置いて逃げたものの、槍で喉を突かれ、発音機能を損傷したとされています。

女性たちの憧れ

クースクリドは、クー・フリンやコナル・ケルナハと並び、アルスターの女性たちから深く愛されていました。彼女たちは、彼らへの愛情のあまり、彼らの身体的な特徴までも真似たと言われています。クースクリドを慕う女性は彼のどもりを真似、コナル・ケルナハに心酔する女性は彼の曲がった歩き方をなぞり、クー・フリンを支持する女性は、狂戦士状態を真似て片目を瞑ったと伝えられています。

アルスター王への即位

後年、コンホヴァル王が亡くなると、アルスターの人々はまず長男コルマク・コン・ロンガスを王として迎えようとしました。しかし、コルマクは帰路で戦死してしまいます。そこで、従兄弟のコナル・ケルナハを王位に推す声も上がりましたが、コナルは自分が養育したクースクリドを推薦し、クースクリドがアルスター王として即位することになったのです。

武具

クースクリドは、「勝利の」という意味を持つコスグラハという盾または剣を持っていました。また、『クアルンゲの牛捕り』では、彼の槍が「蝋燭」を意味するカネルと呼ばれている箇所がありますが、これは単に「蝋燭のようにまばゆい」という意味であるとも解釈できます。

その後

クースクリドは、ルーンの凶刃によって命を落としたという記述が残されています。

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