コンホヴァル・マク・ネサ

コンホヴァル・マク・ネサ：アルスター伝説の王

コンホヴァル・マク・ネサは、アイルランドのアルスター伝説における重要な王であり、その名は「ネスの息子コンホヴァル」を意味します。彼の生涯は、数々の英雄譚と悲劇に彩られています。

生い立ちと即位

コンホヴァルの出自にはいくつかの説があります。有力な説は、ドルイド僧の予言により、ネスが特別なタイミングで身ごもった結果生まれたというものです。また、ネスが川の水を飲んだ際に妊娠した、あるいは上王ファフトナ・ファータハが実父であるという異説も存在します。ネスは、フェルグス・マク・ロイヒとの結婚の代償として、息子コンホヴァルを一年間だけ王位につけることを要求しました。しかし、コンホヴァルの統治があまりにも優れていたため、アルスターの人々はフェルグスの復位を拒否し、コンホヴァルは王位に留まりました。

エヴァン・マハの宮廷

アルスターの王都はエヴァン・マハと呼ばれ、その名は双子を産んだ女性マハに由来します。コンホヴァルは、妊娠中のマハに無理やり競争させたため、アルスターの男たちは危機の際に女性の産気づく時のように無力になるという呪いを受けました。コンホヴァルの宮廷には、「赤枝の館」、「鮮赤枝の館」、「綺羅光る贅沢の館」の三つの館があり、それぞれ異なる役割を持っていました。王は「赤枝の館」に座し、頭上には黄金の林檎をぶら下げた銀の枝が飾られていました。また、コンホヴァル王には初夜権があったとされています。

家族構成

コンホヴァルの家族関係もまた複雑です。姉妹（または妹）のデヒティネは、神ルーとの間にクー・フリンを産みました。王妃はムーゲン・エタンハイスレフで、息子グラスネをもうけています。その他、コルマク・コン・ロンガス、クースクリド・メン、フルヴィデ・フェルヴェンなど、多くの息子たちがいます。また、エオフ・フェドレフ上王は、コンホヴァルの父を殺害した賠償として、娘たちをコンホヴァルに妻として差し出しました。その中には、コルマクの生母クロトラ、フルヴィデの生母、ムーゲン王妃、そしてメイヴも含まれていました。

災いの連鎖

コンホヴァルは、災いをもたらすと予言された語り部フェドリウィドの娘デアドラを妻にするために育てましたが、デアドラはノイシュと恋に落ち駆け落ちします。コンホヴァルはノイシュらをだまし討ちにしたため、フェルグス、ドゥフタハ、コルマクらの信頼を失い、彼らはコナハトに亡命しました。その結果、『クアルンゲの牛捕り』の戦いが勃発し、コンホヴァルは多くの敵と戦うことになります。アルスターの男たちがマハの呪いによって動けない中、クー・フリンが一人で戦い、終盤になってコンホヴァルが軍を率いて登場しました。

死因

コンホヴァルは、コナハトの戦士ケト・マク・マーガハによって脳弾を頭に撃ち込まれました。この脳弾はメスゲグラの脳を石灰で固めて作られたものでした。コンホヴァルはすぐに死にませんでしたが、脳弾がずれると死ぬと宣告されました。その後、キリストが磔刑に処されたという知らせを聞き、興奮して武装決起しようとした際、脳弾が移動し死亡しました。

所有品

コンホヴァルは、盾のオハンや剣のゴーム・グラスなどの武具を所有していました。オハンは「美しき耳」という意味で、この盾が打たれて悲鳴をあげると、エリンの三大波浪が呼応すると言われています。ゴーム・グラスは「青緑」という意味で、コンホヴァルの剣として知られています。その他にも、毒槍や将棋盤、酒樽など、多くの所有品がありました。

コンホヴァル・マク・ネサは、アイルランドの伝説に深く根ざした、複雑で魅力的な王でした。彼の生涯は、英雄的な行為と悲劇的な出来事が入り混じり、多くの物語を生み出してきました。

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