クーパー (駆逐艦)

クーパー(DD-695)：オルモック湾の悲劇と海底の眠り

1944年、アメリカ海軍に就役したアレン・M・サムナー級駆逐艦、クーパー(USS Cooper, DD-695)。その艦名は、1938年に水上機の事故で亡くなった飛行士、エルマー・グレン・クーパーに由来しています。本稿では、クーパーの艦歴、特にフィリピン沖オルモック湾で起きた戦闘と沈没、そして2017年に発見されたその残骸について詳細に解説します。

クーパーは1943年8月30日、ニュージャージー州で起工され、翌年2月9日、進水。3月27日、正式に就役しました。同年7月、ボストンを出航し、真珠湾を経て、11月にはフィリピン近海で作戦行動を開始します。ルソン島、オルモック湾、マニラ湾での攻撃を支援する任務に就き、第38任務部隊の護衛を務めました。

その後、クーパーはレイテ島のサンペドロ湾に移動し、レイテ湾の哨戒に従事。当時、日本軍はレイテ島への増援作戦を繰り返し実施しており、アメリカ軍もこれに対抗していました。12月2日、哨戒機が日本軍の輸送船団を発見したことを受けて、クーパーを含む第120駆逐群はレイテ湾を出撃、オルモック湾へ向かいました。

出撃直後、日本軍機の攻撃を受け、姉妹艦のモールが損傷。オルモック湾に接近すると、日本軍の雷撃を警戒して、クーパーは横陣の隊形で湾内に入りました。湾内で日本軍の駆逐艦2隻、多数の小型艇と遭遇し、戦闘が勃発。クーパーは先陣を切って砲撃を開始しました。

激しい砲撃戦の中で、クーパーは日本軍駆逐艦「竹」からの雷撃を受け、大きな爆発を起こし、艦は二つに折れてわずか1分以内に沈没しました。この戦闘で、乗員191名が戦死、もしくは行方不明となりました。生存者は、アメリカ軍の救助機や、敵艦「桑」の乗員らによって救助されました。

クーパーの沈没は、第120駆逐群に衝撃を与え、退却を余儀なくされました。一方、「竹」は作戦を完了し、マニラに帰投しました。この戦闘は、後に「オルモック夜戦」と呼ばれるようになりました。

クーパーの沈没は、第二次世界大戦におけるアメリカ海軍の大きな損失の一つとなりました。2006年には、クーパーの生存者へのインタビューや、深海ダイバーによる調査を収録したドキュメンタリー映画が制作されています。そして2017年、ポール・アレン率いる調査チームが、スリガオ海峡とオルモック湾でクーパーの残骸を発見、その画像が公開されました。二つに折れた船体は、海底深くでその時の激戦を静かに物語っています。

クーパーの物語は、第二次世界大戦における激戦の証であり、多くの犠牲を払った戦争の悲劇を改めて私たちに突きつけます。その残骸の発見は、歴史を学び、未来への教訓とするための重要な一歩と言えるでしょう。この出来事を後世に伝えることは、平和への願いを強く持つ上で重要な責務と言えるでしょう。残された資料、証言、そして発見された残骸から、私たちは過去の過ちを繰り返さないよう、平和な未来を築く努力を続けなければなりません。

もう一度検索