アレン・M・サムナー級駆逐艦

アレン・M・サムナー級駆逐艦：太平洋戦争を生き抜いた鋼鉄の艦艇

アレン・M・サムナー級駆逐艦は、アメリカ海軍が第二次世界大戦中に建造した駆逐艦です。先行するフレッチャー級を基に設計されましたが、航続性能や艦のバランスにおいて改良の余地があり、その後継艦としてギアリング級が開発されました。しかし、サムナー級は第二次世界大戦後も長らく艦隊の一翼を担い、近代化改修を経て1970年代までアメリカ海軍で運用されました。さらに多くの艦艇が同盟国へ供与され、一部は1990年代まで現役で活躍しました。

設計：フレッチャー級の後継にして改良型

本級はフレッチャー級の改良型として計画されました。当初は38口径5インチ単装砲6基を搭載する予定でしたが、設計途中で連装砲塔の採用が決定。前部に2基、後部に1基の連装砲塔を搭載する設計に変更されました。これにより、砲撃戦力は向上しましたが、艦首の重量増加によって荒天時の航海性能が低下するという問題も発生しました。また、フレッチャー級の1枚舵から2枚舵に変更されたことで、操艦性は改善されました。

主機関はフレッチャー級と同様のバブコック・アンド・ウィルコックス社製の重油専焼式水管ボイラー4缶と、ゼネラル・エレクトリック社製のオール・ギヤード蒸気タービンを採用。船体の大型化に伴い、速力は若干低下し、蒸気圧力も低減されました。燃料搭載量はフレッチャー級と同等でしたが、航続距離は計画値を下回り、特に戦時においては航続距離の短さが大きな弱点となりました。これは、当時の艦隊主力である航空母艦の高速化に対応できていなかったためです。

武装：強化された火力と対空防御力

サムナー級は38口径5インチ両用砲6門を主砲として搭載し、フレッチャー級よりも強力な砲撃戦力を備えました。連装砲塔の採用により、甲板上のスペースを有効活用でき、高角機銃も大幅に増強されました。当初は40mm機銃12門を搭載していましたが、日本軍の特攻攻撃の脅威が増大したため、さらに4連装40mm機銃を増設しました。

戦後は対潜戦能力の向上も図られました。爆雷投下軌条が撤去され、ヘッジホッグ対潜迫撃砲が搭載され、ソナーも新型に換装されました。また、40mm・20mm機銃は新型の3インチ連装速射砲に換装されました。1959年から1960年代初頭にかけては、FRAM-II改修が行われ、レーダーや対潜兵器が近代化されました。この改修により、艦の寿命が5年延長されました。

運用とその後：世界各国で活躍

当初の建造計画は100隻でしたが、設計上の問題点やギアリング級への移行により、58隻に削減されました。竣工した艦艇の多くは太平洋戦線に投入され、沖縄戦にも参加しました。この間、特攻攻撃により2隻が戦没、8隻が損傷するという大きな損害を受けました。

戦後もギアリング級同様、FRAM改修を受け、ベトナム戦争までアメリカ海軍で活躍しました。退役後は、ブラジル、韓国、トルコ、イランなど多くの国に供与され、各国海軍で運用されました。

アレン・M・サムナー級駆逐艦の遺産

アレン・M・サムナー級駆逐艦は、その設計上の課題や戦時・戦後の運用実績から、多くの教訓を残しました。しかし同時に、第二次世界大戦終結から冷戦終結まで、アメリカ海軍の戦力として、そしてその後も世界各国の海軍で重要な役割を果たした艦艇として、その歴史に大きな足跡を残しています。その存在は、現代の海軍技術の発展に貢献しただけでなく、世界各国の海軍協力の歴史においても重要な位置を占めています。

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