ク10 (航空機)

ク10についての詳細

ク10は、日本の大日本帝国陸軍が1940年代前半に試作した滑空機であり、主に軍用として設計されました。開発を担当したのは前田航研工業で、航空機技術の発展とともに特殊な飛行訓練用の需要に応える形で、その設計が始まりました。

設計と試作

1942年の初頭、陸軍航空技術研究所から無制限曲技用のグライダーの注文を受けた前田航研は、前田健一氏を設計主務者として起用し、ク10の設計に取り掛かりました。この機体の特徴は、あらゆる曲技飛行が可能な設計がされている点であり、単座の無制限曲技グライダーとしては日本初の試みでした。試作1号機は、1943年の12月末に前田航研の糸島工場で完成し、同年の12月25日には元岡飛行場で初飛行を果たしました。

ク10は、終戦を迎える1945年までに10数機から35機ほどが製造され、陸軍に納入されています。その設計は航空機強度規定の第5種機に該当し、中翼のソアラー形状を持つ全木製機体となっています。

ク10のスペック

ク10には初期型と後期型が存在し、後期型では翼幅が短縮されるなどの改良が施されました。後期型の主要諸元は以下の通りです：

• - 全長：6.94 m
• - 全幅：13.00 m（初期型は13.60 m）
• - 主翼面積：16.0 m²
• - 自重：270 kg（初期型は220 kg）
• - 全備重量：350 kg（初期型は300 kg）
• - 急降下制限速度：350 km/h（初期型）
• - 滑空速度：80 - 100 km/h
• - 最良滑空速度：76 km/h
• - 乗員：1名

歴史的意義

ク10は、日本の航空技術において特定の役割を担った滑空機の一つであり、当時の航空訓練において重要な存在でした。初期の設計段階から工夫が凝らされており、無制限の飛行性能を誇るため、航空自衛隊におけるパイロット育成に寄与しました。

参考資料

この情報は、以下の文献を基にしています：

• - 佐藤博著『日本グライダー史』海鳥社、1999年
• - 秋本実著『日本陸軍試作機大鑑』酣燈社、2008年
• - 『日本航空史 昭和前期編』日本航空協会、1975年

以上のように、ク10は日本の aviation history において貴重な試作機として位置付けられています。

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