グァンチャーレ

グァンチャーレ：豚のほほ肉の塩漬けのように滋味深い競走馬人生

2012年2月27日、北海道新冠町で生まれた競走馬グァンチャーレ。その名の意味は「豚のほほ肉の塩漬け」。その名前にふさわしく、彼の競走生活は、豊かな風味と奥深い味わいを秘めた、長く記憶に残るものとなりました。父はスクリーンヒーロー。2世代目の産駒として、競走馬としての道を歩み始めます。

2013年の北海道サマーセールでは、当初買い手がつかず、牧場に残る予定でしたが、幸運にも再上場され、210万円で落札。栗東・北出成人厩舎に入厩し、2014年7月、デビュー戦を迎えます。翌月には初勝利を飾り、将来への期待を高めました。しかし、東京スポーツ杯2歳ステークスでは、思うような結果を残せず7着に終わります。

しかし、グァンチャーレは諦めませんでした。翌年のシンザン記念で、見事重賞初制覇。前走の悔しさを晴らす勝利を掴み取ります。弥生賞では4着と健闘し、皐月賞への出走を目指しましたが、直前に右前脚の挫跖を発症、惜しくも出走を回避。その後、復帰戦では思うような結果が出せず、苦戦を強いられます。

3歳秋以降は勝利から遠ざかり、4歳時には準オープンに降級。それでも、彼は諦めずに走り続けました。2016年11月、長岡京ステークスでシンザン記念以来となる3勝目を挙げ、オープンに復帰。その後もオープン特別競走で2、3着と好走を重ね、着実に実力を示しました。そして、2018年11月、キャピタルステークスで6番人気ながら見事勝利。シンザン記念以来、3年10ヶ月ぶりのオープンクラスでの勝利は、関係者の喜びを大きくしました。

2019年には、リステッド競走の洛陽ステークスで通算5勝目を達成。さらに、マイラーズカップでは逃げ馬として好走、ダノンプレミアムには交わされたものの、パクスアメリカーナやインディチャンプを抑え2着に粘り込みました。そして、東京優駿以来約4年ぶりのG1競走となる安田記念では、4着と健闘。その力強さを改めて見せつけました。

その後、秋シーズンは精彩を欠き、12月の阪神カップ10着を最後に現役を引退。長く、そして激しく走り抜いた競走馬生活に幕を閉じました。引退後はイーストスタッドで種牡馬として第二の人生を歩み始めます。

グァンチャーレの血統は、母チュウオーサーヤに始まり、5代母キタノスガタまでが内国産馬という牝系。3代母の半妹にはパワーシーダー、その仔にはヴァイスシーダー、さらにキタノスガタの半姉ナスノホシの仔にはナスノカオリとナスノチグサといった名馬が名を連ねています。

グァンチャーレの競走生活は、決して平坦なものではありませんでした。しかし、その困難を乗り越える力強さと、最後まで走り続ける粘り強さは、多くの人々に感動を与えました。彼の競走馬人生は、まさに「豚のほほ肉の塩漬け」のように、じっくりと時間をかけて味わうべき、滋味深い物語と言えるでしょう。これからも、種牡馬として、彼の血を受け継いだ競走馬たちが、その力強さと優しさを、日本の競馬界に示してくれることを期待しています。

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