グエン・フー・ト

グエン・フー・ト（1910年7月10日 - 1996年12月24日）は、ベトナムの政治家であり、ベトナム戦争中に南部解放闘争を指導した人物として知られています。統一後には、国家主席代行や国会議長を歴任しました。彼はコーチシナでフランス語教育を受けた弁護士であり、フランス社会党（労働者インターナショナル・フランス支部）の一員として政治活動にも携わっていました。

ベトナム独立闘争にも参加し、1949年にはインドシナ共産党に入党しますが、党員であることは秘密にしていました。1950年から1952年の間は抑留され、1954年のジュネーヴ協定を支持しましたが、南ベトナム政府によって拒否されました。その後、第一次インドシナ戦争に参戦し、1954年8月には「平和及びジュネーヴ協定擁護委員会」を設立しましたが、同年11月には南ベトナム政府によって委員会が壊滅・禁止され、グエン・フー・ト自身も投獄されました。1961年に脱獄するまでフーイエン省トゥイホアで軟禁生活を送りました。

1961年、レ・ズアン労働党第一書記の指示のもと、グエン・フー・トの救出作戦が実行されました。ヴォー・チ・コンとフイン・タン・ファトが責任者となり、3度の試みの末、成功しました。1962年2-3月には、南ベトナム解放民族戦線（ベトコン）の第1回大会が開催され、グエン・フー・トは解放戦線中央委員会幹部会議長に選出されました。1965年には反帝国主義演説を行い、後に英訳されて小冊子として出版されました。1969年、南ベトナム共和国臨時革命政府顧問評議会議長に就任し、1976年に南ベトナムが北ベトナムに編入されるまで、この地位を務めました。

1976年7月の統一ベトナム国会において、国家副主席の一人に選出され、1980年3月30日のトン・ドゥック・タン国家主席の死去に伴い、翌31日に国家主席代行に就任しました。しかし、1980年12月の憲法改正により国家主席職が廃止されたため、1981年7月4日にチュオン・チンが国家評議会議長に就任し、グエン・フー・トは国会議長に転任し、1987年まで務めました。1981年から1992年までは国家評議会副議長も兼任しました。

1990年11月には来日し、明仁天皇の即位の礼に参列しました。その後、脳出血のため入院し、1996年12月24日にホーチミン市内の病院で死去しました。1996年12月30日には国葬が執り行われました。また、1983年から1984年には国際レーニン平和賞を受賞しています。

彼は、激動の時代を生き抜き、ベトナムの歴史に大きな足跡を残した人物として、今日でも記憶されています。

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